SI新次元 経常利益率10%への道

<SI新次元 経常利益率10%への道>17.日本オフィス・システム(上)

2006/09/25 20:37

週刊BCN 2006年09月25日vol.1155掲載

製品販売からサービス型へシフト

オンデマンドの基盤をつくる

 日本オフィス・システム(NOS、尾崎嵩社長)は10年近い大改革を経て、今年度(2006年12月期)経常利益率5.2%を見込むまで改善した。尾崎社長が着任した97年度は営業利益率ベースで0.2%しかなかったのに比べて劇的な構造改革を成し遂げた。

 10年前はハードウェアなど製品販売が売上高の中心を占めており、90年代、急速に進んだハードウェアの低価格化の煽りを直接的に受けたことが業績悪化に拍車をかけた。

 98年から始まった構造改革では製品販売への過度な依存から脱却して、サービス事業主体のビジネスモデルへのシフトを進めた。ピーク時は製品販売が売上高の90%近くを占めていたのに対して昨年度は38%まで下がった。一方で売上高に占めるサービス事業の比率は62%に拡大。これが利益率を高める原動力になった。

 尾崎社長は、日本IBMの要職に就いていた頃から、「ITのビジネスモデルはサービス型へ移行すべき」だと考えていた。製品販売に依存していたNOSに着任したときはすでにサービス型のビジネスモデルに変える決意を固めていた。

 当時のNOSは60億円余りの有利子負債を抱え、キャッシュフローは2億円ほどしかない、極めて低調な状況だった。製品販売をメインに仕事をこなしていた社員に不安感が広がっていたこともあり、尾崎社長は中期経営計画を明確に示して1ステップずつ改革を促した。

 いきなり「サービスだ、オンデマンドだ」などとは言わず、タイミングを見ながら成長ステップに合ったキーワードを投げかけ、分かりやすい目標を設定して社員を導いた。

 98-00年度の中期経営計画は「変革」と名づけた。製品販売依存の事業形態を改め、まずは既存の得意分野の中でサービス事業への転換を進めた。3年間の営業利益率の平均は0.9%に改善した。

 次の01-03年度は「飛躍」と位置づけ、SAPやピープルソフト(現オラクル製品)など有名ERPの導入を手がけられるように努めた。毎年1億円規模の予算を組んで社員教育を行い、高度な業務ノウハウが求められるERPの構築実績を積んだ。新規顧客の開拓にも積極的に取り組み、この期間の営業利益率は平均2.6%まで高まった。

 しかし、SIだけでは一過性の売り上げは立っても安定的な収益は得られにくい。ERPでSIの実力をつけたあとに続く施策として尾崎社長は、オンデマンドサービスの基盤ともいえる「ITアウトソーシング」を掲げた。これが04-06年の中期経営計画「新創」の柱だ。

 「新創」期間中の05年10月には業界にも例がない独自のオンデマンドERPサービスをスタートさせた。05年12月にはNOSの収益力と成長性が認められ、ジャスダック市場への株式上場を果たすこととなった。(つづく)(安藤章司●取材/文)

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