SI新次元 経常利益率10%への道

<SI新次元 経常利益率10%への道>20.コア(下)

2006/10/16 20:37

週刊BCN 2006年10月16日vol.1158掲載

新規事業が業績アップのカギ

08年度に経常利益率10%へ

 コアは、GPS(全地球測位システム)チップ、IT資産管理ソフトのASPサービス、組込ソフト開発プラットフォーム「T-Engine」ベースのシステムなどを今年度(07年3月期)から本格的に提供開始した。井手祥司社長は、「新規事業が業績増加のカギ」と判断している。

 GPSチップは、GPS関連ソフト開発のマゼランシステムズジャパンと提携。屋内でも正確に位置情報が検出できるほか、サーバーに位置情報をアクセスした際の検出時間を軽減できるチップを開発した。「今年夏に通信事業者と実証実験を行い、他社製のGPSチップよりも高い受信感度が出せた」という。07年4月以降に発売される第3世代携帯電話に位置検出機能の搭載が義務づけられているため、現段階では携帯電話メーカーに販売のアプローチをかけている。今年度の売上高は5000万円と設定。来年度に3倍の1億5000万円、08年度に前年度の2倍にあたる3億円規模を狙う。

 IT資産管理ソフトのASPサービスは、ある大手メーカーがIT総合サポート事業を手がけるうえでサービスのひとつとして採用したほか、NTTグループが導入を検討しているという。

 「ASPサービスの追加により、IT資産管理ソフト関連ビジネスの利益率が、これまでのパッケージ販売のみと比べ2倍以上に増えるだろう」と試算する。

 「T-Engine」関連ビジネスでは、非接触ICカード技術「Felica(フェリカ)」搭載の携帯電話で入退室が可能なシステムを開発した。「複数の建設会社とアライアンスを組み、新築マンションへのシステム構築を進めている。すでに3案件を獲得した」としている。

 過去5年間の経常利益率は、浮き沈みが激しい。01年度には8%台を確保していたが、02年度に6.0%と大幅に減少。03年度6.9%、04年度7.4%と持ち直したものの、05年度に6.5%と再び下がっている。

 そのため、今年1月に08年度までの3か年中期計画を策定。今年度から事業別社内カンパニーの連携強化を図る横断的な組織「東日本営業本部」や「西日本営業本部」などを設置し、地域と事業を組み合わせた“クロス営業”を徹底している。加えて、組込ソフト開発で協業するシステム販売系SIerを販売代理店として確保するため、販売支援制度を体系化した。こうした強化策で、08年度に売上高を300億円規模まで引き上げることを計画している。

 経常利益率10%の達成については、「乗り越えるには、大きなハードルであるのは事実だ。しかし、売上規模の拡大に向けた組織体制の整備やチャネルの確立、高利益のビジネス増加などにより、あながち夢物語ではなくなった。売上300億円の達成にともない、経常利益率10%は果たせる」と言い切る。(佐相彰彦●取材/文)

 

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