IT Stock Frontline

本格的なM&A時代が到来

2007/01/01 16:04

週刊BCN 2007年01月01日vol.1168掲載

「三角合併」解禁が後押し

 2007年の株式市場はM&A(企業の合併・買収)が大きなテーマになろう。鉄鋼、食品、小売りなど06年も多くの業界で再編が進んだ。昨年末には家電量販店のギガスケーズデンキがデンコードーを07年4月に株式交換で完全子会社化すると発表。上位企業の寡占化が進むなかで、合併により生き残りを目指す。このニュースを受けて家電量販店各社の株価は上昇、業界再編の次のラウンドをにらむ動きが株式市場では出始めている。

 M&Aの動きを加速させるとみられるのが07年5月に解禁される「三角合併」。これは企業の合併に際して親会社の株式を交付するもの。外国企業が日本に子会社を設立して日本企業を買収することが可能になる。これにより、外国企業によるM&Aや敵対的買収の増加が想定される。

 外国企業による日本企業の買収活発化が予想される要因としては、日本企業の時価総額が海外の巨大企業と比較した場合、小さいということがあげられる。日本のハイテク企業の時価総額を見ると、最も大きいのはキヤノンの6兆円。日立製作所は2兆円、富士通は1兆8000億円だ。これに対して韓国のサムスン電子の時価総額は11兆円。ちなみに、カシオ計算機の時価総額はサムスン電子の15分の1、パイオニアは30分の1でしかない。また、チャイナモバイルの時価総額はドコモより大きい。

 時価総額が大きいアジア企業が世界的なブランドを手っ取り早く手に入れるにはどうするか。ブランド力はありながら業績不振で株価が低迷している日本企業を買収するには有効な手段だ。

 外国企業などからの買収の脅威にさらされることは企業経営に緊張感をもたらす。収益拡大への努力、配当の増加期待などは株主、株式市場にはプラスだろう。(有賀勝久)
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