飛躍的成長に向けた準備開始

10年度に売上高2400億円を必達

 日立製作所グループの中核SIer、日立情報システムズ(原巖社長)は過去5年間、4%以上の経常利益率を一貫して確保し続けてきた。

 従業員1000人規模の中堅企業を顧客ターゲットに据え、システム構築とその運用サービスを得意とする。システム構築では、SAP製ERPの販売・構築実績が高く、運用サービスでは全国19か所にデータセンターを設置した提供体制と運用ノウハウが武器。SAP関連案件の売上高は、今年度(2007年3月期)中間期が45億円で、通期では89億円を見込む。また、運用サービスでは、アウトソーシング事業が好調で今年度中間期末時点でサーバーの預かり台数は9275台。期首計画では通期で9100台が目標だったから、その好調ぶりが分かる。

 機器およびサプライ品の販売事業の売上高に占める比率が7%(今年度見込み)と競合するSIerよりも低く、独自色を出せるシステム構築と運用に集中する。中堅企業向けのSI事業全般を手がけるものの、強みを持ちリソースを絞れる。SIerの平均経常利益率が3%といわれているなか、水準を越えている理由はここにある。

 ただ、業界水準以上の経常利益率を達成しているとはいえ、ここ3-4年の利益率はほぼ横ばいで推移している。6%を超えたのは、02年度以来一度もない。今年度上期は、開発案件の不採算化が発生し営業利益は前年同期に比べて10億8000万円、経常利益は9億円減少した。90年代後半から02年までの成長率を考えれば、停滞感は否めない。

 昨年6月に就任した原社長は、この停滞感を打ち破る大胆な中長期的事業戦略を描いている。売上高は維持しながら効率化や生産性向上による利益追求戦略ではなく、大幅な売り上げ拡大を追求する。母数が拡大すれば、自ずと利益も増えるという考え方だ。

 ただ、今年度下期は攻めよりも守りの態勢だ。まずは不採算化案件の苦い経験を生かし、開発体制を強化。そしてオフショア開発を今年度末には600人/月発注まで拡大する。運用コストがかかるデータセンターでは、仮想化、自動化による「データセンターの無人化」計画に着手し始める。準備段階の意味合いが強く、今年度の連結業績見通しは、売上高1770億円、経常利益は85億円で経常利益率4.8%。減益を見込む。

 来年度から始まる4か年中期経営計画が業績拡大の本番だ。国内のSI業界のなかで、トップ5にランクインすることを掲げ、売上高は最低でも2400億円、強気には3000億円を目指す。その実現のために原社長が進めているのが、成長が期待できるビジネス「ポジティブ事業」の発掘と推進体制の整備、そして「情報のプール化構想」の具現化だ。(木村剛士●取材/文)