IT Stock Frontline

決算で株価にばらつき

2007/05/28 16:04

週刊BCN 2007年05月28日vol.1188掲載

カシオのストップ安は不可解

 2007年3月期の決算発表は5月後半にかけてラッシュ状態。08年3月期の予想で驚くような強気の数字を出してきた企業、保守的予想の企業とさまざま。業績の好不調によって株価に明暗が分かれている。

 決算発表を受けて株価が急騰したのが任天堂。株価は初めて4万円台に乗せ、2か月で30%強の上昇。時価総額は5兆8000億円台(5月17日)で、全上場企業の中で15位。07年3月期は前の期に比べて売上高が89%増、営業利益は2.5倍に。携帯型ゲーム機「DS/Lite」(前期の全世界販売台数2356万台、累計4029万台)、新ゲーム機「Wii」(発売5か月で584万台)の大ヒットに加え、ゲームソフトの好調な販売も寄与した。08年3月期は売上高が17%増、営業利益19%増の予想。為替レートは1ドル=115円の想定で、株式市場は「上方修正の可能性大」と読んだようだ。

 ソフトバンクは07年3月期の営業利益が前の期に比べて4.4倍の2710億円に。昨年4月のボーダフォン買収の効果が出た。ただ、四半期の数字を見ると1-3月の営業利益は737億円と昨年10-12月期から13%減と利益率は低下した。この辺りを気にしてか株価は軟調。決算数字以外では、今後の中国での事業展開が注目されたほか、3.5世代携帯電話の技術を支えるHSDPAの強化が関心を集めた。

 首をかしげたのはカシオ計算機の評価だ。08年3月期はデジカメなどの拡大で営業利益は530億円(前期比10%増)と収益拡大が続く。にもかかわらず発表翌日の株価はストップ安。予想数字が証券会社のアナリストの予想を下回ったからだというが、要はアナリストの予想が高すぎたということ。すべてのアナリストが資質に恵まれているわけではなく、そうしたアナリストを信じてしまう投資家、振り回されてしまう株式市場に問題ありだろう。(有賀勝久)
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