「小回り」対応が強み

 ワイヤレスインフォ ベンチャーカンパニー(木下泰三カンパニー長&CEO)は「ワイヤレス」と「タグ」を中心に事業を進めるべく、2004年に設立された。
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 カンパニーのメンバーは20人ほど。日立製作所の組織図では、末端のほうに位置する人員規模だ。だが、社長直轄で日立の5大事業とも同格、意思決定も迅速に行える。

 現在は位置情報検知システム「AirLocationⅡ」、センサネット情報システム「AirSense」および入退室管理サポートや児童安全サポートなどの「ワイヤレスソリューション」の3事業を展開する。売上比率はAirLocationの4に対して、AirSenseが2、ワイヤレスソリューションが1の割合となっている。

 売り込みに際して苦労したのは「日立さんの外に出たのでしょう」と顧客に言われ、日立内の事業と認識されないことだ。一般的なビジネスの流れはこうだ。顧客が製品を買いたいと考えた時、担当営業マンに電話する。営業マンは日立内の製品でどれを選べばニーズに対応できるかを探して製品を持っていく──。カンパニーにはその仕組みはないが、逆に好都合な場合もある。顧客が営業マンを通すため時間がかかり、また営業マンが製品を知らない場合はビジネス機会を逸する場合もあるからだ。

 ベンチャーであるならば、通常の営業ルートを通さずにすむ場合もあり、かつ「本来は競合を担ぎたくないNECなどの他社からもオーダーが入ってくる」利点がある。

 現在「AirLocationⅡ」を約40か所へ導入している。今年5月、国内で初めて山口県に民間委託型の刑務署が設立された。大学のキャンパスのようで、フェンスも低い開放的な刑務所として注目されている。ここでは「AirLocationⅡ」を使ったRFIDシステムが構築された。

 センサネット情報システムの「AirSense」は、食関連の施設での利用が考えられる。

 「『HACCP』という衛生管理の方式に基づき、『温度、湿度、微粒子』などを2時間おきに記録しなければならないという。AirSenseを使えば自動的に記録を取り、無線で情報を送ることができる」のだ。同製品は規格されたばかりの無線方式「ZigBee(ジグビー)」を使い、同社が国内に認知を広げている。

 2010年までに220億円の売り上げを目指す。「新事業だけに、日立の社員が全員知っているわけではない」。認知を上げるためには実績が先決だ。「ニーズはある、市場もあると確信している」。(鍋島蓉子●取材/文)