IT Stock Frontline

東芝、7年ぶりの高値

2007/07/09 16:04

週刊BCN 2007年07月09日vol.1194掲載

フラッシュメモリの需要が急拡大

 東芝の株価が急騰。2000年9月以来の1000円台に乗せてきた。半導体市況の回復や原子力発電分野に関心が集まっている。半導体分野では携帯音楽プレーヤーなどの記憶媒体として使われるフラッシュメモリにいち早く重点を置き、積極的な設備投資で韓国サムスン電子をしのいで世界トップの座にある。

 フラッシュメモリはパソコンへの使用が増える方向にあるうえ、6月末に発売されたアップルの携帯電話「iPhone」に使用されることもあって需要は一段と拡大の方向。東芝では生産能力を来年半ばまでに現在の7割アップを計画しており、業績への寄与に期待がかかる。

 また、原子力発電は原油価格の高止まりで世界的な発電所建設ブームが起きており、米ウエスティングハウスを買収して競争力が高まっている東芝の存在が株式市場で注目されている。

 半導体の市況上昇は東芝だけでなく、関連銘柄の株価にもインパクトを与えている。米国ではクリスマス商戦に次いで、9月にかけて新学期商戦が大きな販売機会。これをにらんでパソコンメーカーが部品手当てを急いだのが半導体DRAM市況上昇の大きな要因とみられる。米国の半導体関連株の指標であるフィラデルフィア証券取引所の半導体株指数(SOX指数)は昨年5月以来の高値に上昇。東京市場でもこれまで動きの鈍かった関連株に人気が回ってきた。DRAMメーカーのSUMCO、半導体製造装置の東京エレクトロン、アドバンテスト、シリコンウエハーの信越化学工業なども株価が上昇している。半導体の延長で、薄型テレビ、携帯電話向けの需要増が見込めることから、電子部品セクターの動きにも関心が集まっている。

 日経平均はようやく年初来高値水準に上昇してきたが、ハイテク株の人気が広がれば一段高への期待が高まりそうだ。(有賀勝久)
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