IT Stock Frontline

世界的株価波乱は収束へ

2007/09/03 16:04

週刊BCN 2007年09月03日vol.1201掲載

悪材料抱えた企業の株価急落

 世界的な株価波乱に巻き込まれた東京市場。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の焦げ付き問題に対して米国の金融当局は、公定歩合の引き下げという緊急措置を取り、連鎖安はひとまず落ち着きをみせた。

 ただ、日本の株価は7月高値からの下落率が16%に達した。震源地である米国の下落率は8%に過ぎず、日本株の弱さが目立つ。

 その要因とみられるのは、日本経済が「外需頼み」から抜け出せないこと。これまでの株価上昇を引っ張ってきたのは自動車、商社、機械といった米国や新興国など海外で稼ぐ企業だ。しかも為替相場は1ドル=120円台の円安水準が続いていたため、円安による企業収益の上方修正期待が株価上昇を支えていた。ところが、世界的な景気拡大にブレーキがかかる懸念が出たうえ、為替相場は1ドル=110円に近づく円高水準に。企業収益への楽観論の後退が日本株の急落につながったようだ。

 今後の株価の動きも為替相場をにらみながらの展開になりそうだ。円高トレンドが継続する場合は、物色買いの流れは変化する公算が大きい。輸出のウエートが高い企業から事業活動が国内中心の内需型企業、例えば小売りや情報ソフトといったセクターに関心が向く可能性がある。

 株価全体が大きく下落するなか、個別に悪材料が出た企業の株価の下げが目立った。例えば、「ノキア製携帯電話に搭載しているリチウムイオン電池を無償回収する」と発表した松下電機産業、仏情報大手GFIインフォマティークに対するTOB(株式公開買い付け)に失敗した富士通。また、GMOインターネットは、消費者金融事業の失敗で、2007年12月期に大幅赤字に転落することが明らかになり、株価は急落した。(有賀勝久)
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