ビルメンテ業の売上管理アプリを開発

 山口航平氏がITコーディネータ(ITC)資格を取得したのは、3年ほど前。その1年後の2006年に独立し、情報システムの企画・開発事業を単身で始めた。ビル空調設備メンテナンス業を営む三田エンジニアリング(千野宗明社長)のプロジェクトは、山口氏がITCとして手がける最初の仕事だ。

 三田エンジニアリングは、約70人の社員を抱え、東京など国内9か所に営業拠点を設置してビルのメンテナンス事業を展開している。

 同社向けに山口氏が企画・開発しているのは、各営業所の売り上げおよび受注状況を1つのアプリケーションソフトで一括管理する基幹システム「mitaengine(ミタエンジン)」(仮称)。各営業所の担当者はVPN(仮想私設網)を通じて、「ミタエンジン」にアクセスし、データを入力する仕組みだ。本社の管理部門は全営業所の売上データをリアルタイムに閲覧・管理できる。

 7月に本稼働する計画で、開発はほぼ終了し現在はテスト段階。正常稼働は確実視されている。だが、このプロジェクト、現状に至るまでには苦労の連続で、決して平坦な道のりではなかった。というのも、当初の計画では1年前に本稼働しているはずだったからだ。

 プロジェクトが動き始めたのは2年3か月前。山口氏が、三田エンジニアリングに営業をかけ、千野社長に認められてスタートした。まず山口氏は、要望を吸い上げるための聞き取りから開始。この調査に9か月を費やした。三田エンジニアリングにはそれまで基幹システムが存在せず、売上管理手法は「エクセル」によるものだった。各営業所はエクセルに売上データを入力して本社にメール送信し、本社がそのデータをまとめる仕組みで管理していた。初めての基幹システム構築だけに「要件定義には細心の注意を払った」(山口氏)と振り返る。

 要望をまとめて開発がスタートしたのが1年半前で、半年間の開発期間を経て07年7月に稼働するスケジュールを組んだ。当初は、ビルメンテナンス業向けの売上管理機能を持つパッケージソフトを購入し、カスタマイズして構築することを考えていた。だが、「適したパッケージが見当たらなかった」(山口氏)ことから、一から開発することを選択した。当初は数人のフリープログラマーを雇って開発する予定だったが、開発予算と折り合わず、山口氏が1人で開発することに。プログラム開発ツールの「StiLL」と、「VBA」を用いて、開発が始まった。(木村剛士●取材/文)