「仕事」につながるSNS

 TIS(藤宮宏章社長)はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の企業利用が一般化する前から、OSSで開発したSNS「SKIP」を導入し、社内の情報共有に活用してきた。「SKIP」は社内の壁をスキップするという意味で名づけた。2年以上にわたって運用し、ニーズを反映させてきた結果、機能的に充実してきたことから、OSSとして公開に踏み切った。

 OSSはソースコードを開示することで、さまざまな人が開発に参加できる「ウェブ2.0」的な性格をもっている。

 当初はパッケージ製品として販売することも考えていたが、ビジネス化に向けて、より注目度が高いOSSとして提供することを選択した。「OSSの開発者は本業のかたわらでOSS開発に参加していることも多い。開発者の本業に役立つものを提供したかった」(倉貫義人・技術本部基盤技術センターエキスパート)と公開の理由を話す。

 OSSでの公開については、難色を示す者もいたが、最終的に経営会議で承認された。社内利用のSNSをオープンソース化するために、5人ほどで開発を行い、今年5月に公開を始めた。

 OSSのSNSといえば、Open PNEがある。しかし、倉貫氏は「Open PNEはコンシューマのSNSに向いているものだと思う。SKIPはもともと社内利用だったため、企業向けSNSに適している」と特徴を語る。長い間SNSにアクセスしていなかった場合でも、システムが自動的にユーザーのほしい話題の更新情報を拾い、マイページ上で一覧表示する「アンテナ機能」や、ユーザーのプロフィールに対して他のユーザーがブックマークし、そのプロフィールをSNS内の他ユーザーと共有する「ソーシャルブックマーク」のような機能を提供している。同社は将来的にソフトを使ったSIや構築する際の技術支援、SaaSとしてのビジネス確立も目指す。

 企業向けSNSの認知は広がっているものの、導入実績は伸び悩んでいるのが実状だ。今後はエンタープライズ2.0製品を提供しているようなベンダーとも協業し、企業ユースを盛り上げる策も練る。「SKIP」は、1年間で1万ダウンロードを当面の目標としている。

 倉貫氏は「企業でもこれからは在宅勤務の社員が増えてくる。そうなると、一つのビルが会社という意識ではなく、SNSというエッセンスが『同じ会社にいる』という認識になってくるのかもしれない」と将来を展望する。(鍋島蓉子●取材/文)