IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>99.「IT経営力大賞」シリーズ スーパーホテル(下)

2009/07/13 16:40

週刊BCN 2009年07月13日vol.1292掲載

自社サイトのWeb予約に注力

 徹底した「ローコスト経営」を目指し、宿泊料を1円でも安くするためにスーパーホテルはITをフル活用している。先駆的に自動チェックイン機「ノーキー・ノーチェックアウト」システムを導入したことで、各店舗の従業員を最小限2人に抑え、人件費の削減を実現。さらに店舗業務を効率化するため、Web予約に注力している。

 とくに、自社サイトで予約するように顧客を誘導する戦略を開始しており、Web予約の回数に応じて宿泊料金を減額する各種キャンペーンを打つほか、SEO対策を施してWeb露出を高めることなどを推進している。

 一方、各店舗のホテル運営は少人数のため、夜間対応が頻繁だと現場負担が増す。夜間は施錠されるが、自動キー番号を扉のキーに入力すればホテル内へ入ることができる。ところが、この自動キー用紙を部屋に忘れるケースが多い。これを受け、3年ほど前に「深夜対応センター」を構築。東京のコールセンターで電話応対し、番号を知らせるサービスで問題を解消した。

 スーパーホテルのIT利活用を支援するITコーディネータ(ITC)の本多茂氏(NPO法人WIT代表)は、「システムは日々進化している。ただ、カスタマイズしたり、部分最適の面は否めない。さまざまな課題を解決したあと、全体最適に向けたシステム変更が必要になる」とみている。将来的にはシステム全体を同一基盤に集約する必要性が出てくると、長期スパンでの計画を練っているという。

 創業者の山本梁介会長は、2010年(2011年3月期)までに現在89店舗を100店舗に拡大することを目指している。しかし「拡大志向ではなく、あくまで顧客の利便性を高めることにある」(同)と、ITでさらに省力・合理化し、現店舗における「顧客満足度」を高めることに重点を置いている。今後も、本多ITCは順次整備されるシステムの投資対効果を分析しつつ、新たなIT投資へ向けた取り組みを指南していく。
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