「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を迎えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。国内で地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか――。
地方自治体の売上比率が最も大きく、次いで金融向け、流通向けなどが続く。秋田県内だけでなく、複数の地域に顧客をもっている。自社で提案するケースと、大手メーカーからの下請けとして製品・サービスを提供するケースの両輪でビジネスを手がけている。
秋田県は、大きなベンダーでも300~350人規模と、他県と比べて小さなベンダーが多い。顧客からは、「小規模で体力がない」と認識されている。そのため、例えば秋田県庁の基幹システムでも、地元のベンダーが獲得していないというのが実情だ。県庁でも発注形態を細かくするなどの方法で地元ベンダーに発注し、地域活性化を図ろうとしてはいるが、「体力がない」という先入観から、実際にはあまり受注に結びつかない状況だ。このような環境から、当社は県外でのビジネスがメインになっている。
これからは、まず「体力がある」ことをアピールしなければならない。そこで、私が会長を務める秋田県情報産業協会では、加盟ベンダー各社の人材が現段階での状況を把握するために「人材マップ」と呼ぶ取り組みを進めている。これによって、どのベンダーがどんな人材を抱え、どの分野が得意なのか、顧客に向けて積極的に訴求していく。
もちろん当社でも人材マップを作成している。実際に作成してみて、中国に子会社をもつ当社は、低いコストでソフトを開発できるという優位点があることを改めて実感した。これからは、この優位点を積極的にアピールしていく。
また、今後は開発力を武器に自社製品の開発も進めていく。すでに民間向けに工場のライン監視が可能なシステムを構築するなど、顧客のニーズに応じて製品・サービスを提供している。こうした実績をもとに、他社にはない製品を開発していくことがビジネス拡大の鍵を握る。
すでに、1社だけでは顧客のニーズに応えられない時代になっている。これからは、協会の参加ベンダーとのパートナーシップを深めるほか、他県のSIerとの共同開発での協業、販売契約の締結など、アライアンスにも積極的に取り組んでいく。
◇ADK富士システム 代表者…近藤和生 代表取締役社長 売上高…13億円 利益率…1億円(経常利益) 主要顧客…地方自治体 ハードとソフトの比率…1.5:8.5 県内・県外比率…2:8 |