「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。
地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。
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| 近松淳一 代表取締役 |
当社はパッケージを用いたソリューションを手がけている。パッケージは大企業、中堅の製造業向けに東洋ビジネスエンジニアリングのMCFrame(エムシーフレーム)、内田洋行の食品業向け「スーパーカクテル」を販売している。8割は全国のSIerに対して提供しているものだが、最近では建機業者などに向けて独自にソリューションを提供している。
10月には、独自のパッケージで、企業経営者が中期経営計画の立案、資金繰りや売り上げの管理ができる中小企業向けの経営支援システム「利休」を提供する予定で、営業をかけている。これはエムシーフレーム、スーパーカクテルが現場指向のパッケージであるのに対し、経営者の視点に立ったパッケージだ。先日、このパッケージについてのセミナーを行ったところ、意外にも金融機関の参加が多かった。
当社の取引先は全国にまたがっている。だが、創業時から地域社会への貢献を掲げており、千葉県内の企業に対してソリューションを積極的に提供していきたいと考えている。また神戸に支店をもっていて、2次請けから、元請けの案件を増やしていきたいと模索している。今後は県内と県外の1:9の割合を、5:5にしたい。とくに千葉県内のなかでも、まだレガシーシステムを運用している地場企業に向けて、リプレースのタイミングで、いいシステムを安く、短期間で構築したい。
今後の課題としては、元請け案件を増やしていくための営業力、提案力の強化だ。自社内で教育を行うなど、ノウハウを蓄積している。
また、開発においてはアジャイル開発を標準的に取り入れていきたい。アジャイル開発の手法を取り入れるには、技術者のコミュニケーション能力の向上は必須だ。会話力を重点的に強化していきたい。
代表者…近松淳一 代表取締役 売上高…3億7000万円 利益率…公表せず 主要顧客…製造業 ハードとソフトの比率…ソフトがほぼ10 県内・県外比率…1:9 |
SaaS/ASPもいずれ展開することを検討している。独自パッケージの需要が高まれば、自社でデータセンターを構えて提供するか、もしくは自治体がもっているSaaS基盤などを利用してアプリケーションを提供したいと考えている。