マイクロソフトの新OS「Winodws 7」が10月22日、全国の家電量販店で一斉に発売された。XPやそれ以前のOSが投入された当時ほど“ムーブメント”は起きていない。ただ、BCNランキングのデータを見ると、Vistaに比べて“初速”の伸びは上々だ。発売初日の販売本数は、Vistaのそれの1.54倍。発売直後の土・日曜日の「Windows 7」搭載PCは、台数ベースで27.0%増、金額ベースで8・1%の伸びを示し、PC売り場を安心させた。

 一方、企業向けライセンスの発売はこの2か月前だったが、「すでに早期採用を表明した企業が163社に達した」(樋口泰行社長)と、こちらもVistaに比べて立ち上がりは急だ。Vistaの早期採用がわずか18社だったのに対し、10倍近い数字が出た。本紙が入手した情報によると、「Windows 7」対応のアプリケーションは1773製品(178社=10月23日現在)で全体の約85%、周辺機器が4497製品。「対応力」が初速をつけた。

 Vistaが失敗の烙印を押された背景の一つに、対応製品が少ないことが挙げられる。当時、プリンタドライバ未対応や日本語化の遅れなどが指摘され、購入・導入するユーザーを不安にさせた。企業ではOSを替える際、IT担当者の手で、混在する既存システムとの互換性などを検証する必要がある。この作業が尋常ではない。そのため、VistaをパスしてXPを使い続ける判断が働き、企業でのVista導入率は1割程度にとどまった。

 「Windows 7」で企業ユーザーを安心させる要因に、マイクロソフトの一つの制度がある。「Application Compatibility Factory(ACF)」だ。アプリケーションの互換性(Compatibility)に関する問題を解決するための、同社とパートナーとの連携だ。ACFには、大手SIerや有力ソフトウェアベンダーが名を連ねていることも心強い。

 とはいえ、マイクロソフトは慎重だ。Vista当時に比べると、マーケティング戦略に派手さがない。Vistaを敬遠してXPを使い続けるユーザーが、2014年のXPサポート切れまでに買い換えるとの予測がそうさせている。

 現段階で、シンクライアントなどの需要は「Windows 7」の脅威になってはいない。しかし、クラウド/SaaSの波は、確実に3年以内に押し寄せるだろう。その波に備える体制がマイクロソフトにできているのか、まだ見えていない。