大手SIerの新日鉄ソリューションズ(NSSOL、北川三雄社長)は、クラウドサービスでユニークな売り方を実践する。同サービスは、企業向けマルチテナント方式の「absonne(アブソンヌ)」で、テナントとして入居しているソフト・サービスベンダーの販路を活用。ユーザー数や稼働率を着実に引き上げている。SIerのクラウドサービスの多くは、自身による直販がメインであるが、NSSOLは有力な販路をもつソフト・サービスベンダーを、自らのクラウドサービスに誘致。間接的に自社サービスの拡販につなげる。

 NSSOLはクラウド・サービスに力を入れているSIerで、absonneサービスではソフト・サービスベンダーとの連携を重視。公表されている会社だけでも、ASP/SaaS方式による福祉・介護システム提供のワイズマンや、LPガス販売事業者向け業務システムの高木産業など、当該分野ではトップクラスのシェアと実力をもつベンダーが名を連ねている。ポイントは、ワイズマンや高木産業が自ら強力な販売力をもっている点である。同業他社に先駆けてabsonneを駆使してASP/SaaS方式に移行し、この競争力を生かしてシェアを拡大。結果的にabsonneの稼働率を高め、NSSOLのクラウドビジネスの拡大につなげる動きを展開している。NSSOL自身で、エンドユーザー企業の業務システムをabsonneで運用する案件も増えており、間接販売と直販を“車の両輪”に位置づける。

 2009年11月には、ウェブ会議システムで国内トップクラスのシェアをもつブイキューブの「nice to meet you」ソフトをabsonneに移植。サービス名を「nice to meet you@absonne」とした。このサービスは、NSSOLによる直販だが、売れ筋のソフトをabsonneに搭載することでクラウドサービスの販売に弾みをつける。NSSOLでは、クラウドサービス全体の売り上げを「向こう2~3年のうちに倍増させる」(北川社長)と意欲を示す。(安藤章司)