これまで期待しては消えてきたパソコン以外の情報端末が、iPhoneの大ヒットにより、スマートフォンとして本格普及の兆しをみせている。ビジネス用途での普及も視野に、というのは早計だが、ガラケー(ガラパゴスケータイ)と揶揄されるドコモではなし得なかった情報端末の発展系を体現しつつある。

 とはいえ、今の携帯電話には使い切れないほど豊富な機能が搭載されている。安価な料金メニューも揃っており、利用上の不都合は少ない。日本の携帯電話は世界標準にはなれなかったが、スマートフォンに負けないぐらいの高機能端末として進化している。したがって、携帯電話とスマートフォンの決定的な違いは、その機能にあるとは言えないだろう。

 国内のスマートフォンは、iPhone OSを筆頭に、グーグルのAndroid、マイクロソフトのWindows Mobileを採用する三つの勢力が注目されている。ただ、それぞれ別のOSなので、結局のところアプリケーションの数と価格、機能、マーケティングなどで優位性をもつ製品に収れんすることになろう。

 では、スマートフォンが、中堅・中小企業(SMB)のビジネス用途で利用されるのか。結論をいえば、現在のままでは携帯電話の代替として利用されるのは限定的になりそうだ。携帯電話は通話とメール、Webともに十分に使いこなされているので、あえて別の端末に切り替える必要性に乏しい。むしろ現状の携帯電話の機能をフルに引き出して活用するほうが、経済合理性に見合うはずだ。

 ノークリサーチで実施したモバイル端末の活用実態調査では、ノートパソコン(A4、サブノート、ネットPC)が圧倒している。携帯電話やスマートフォンに活用意欲を示すSMBも、10~20%程度は存在する。ただし、SMBが検討するモバイル端末の種類には多くの選択肢が存在し、今後どれが主流になるかまだ明確ではない。とくにSMBの場合、使い方を個人に委ねると導入意欲が鈍くなるのが常なので、ソリューションとして効果が明確な形での提案などが必要となる。つまり、すぐに使えて、しかも効果が分かりやすいことが普及のポイントだ。

 これまで情報端末は日本市場に根づかなかった実績があるだけに、スマートフォンがPDAの二の舞にならないようにと筆者はやや冷めた目で見ている。ただし、ケータイが「デファクトスマートフォン」にスイッチすれば、状況は一気に変わる可能性は否定できない。