ITコーディネータ協会(関隆明会長)は、「ITコーディネータプロセスガイドライン(ITC/PGL)」を学ぶために使う教材に準拠した研修「IT経営体感ケース研修」を定期的に開催している。受講者は、ITコーディネータ(ITC)の資格取得を目指す人だけでなく、ユーザー企業の経営者やITベンダーの営業職者など、幅広い層を対象にしている。「IT経営の意識を広く普及する」(関会長)ことを目的としており、ITCの輩出や育成にとどまらず、国内の中小企業が遅れをとっているIT化/IT経営を推進する中核母体としての役割を果たそうとしている。

 この研修は、ITCが資格取得で身につける必要があるITC/PGLを「IT経営」に役立ててもらおうと、ITC以外にも一般開放した。受講者は、企業の経営層や業務改革リーダー、IT担当者、ITベンダーの営業職、SE(システム・エンジニア)職、コンサル職のほか、経営系の資格を取得したもののビジネスに結び付かないと悩む人、自治体や商工団体で中小企業の育成策を手がける担当者などから、幅広く募集している。これまでの同協会にはなかったケーススタディ研修だ。

 カリキュラムは、ITC/PGLの教材に準拠。ITC資格認定ケース研修と同様に企業事例をテーマにグループ演習を繰り返しながら、経営戦略からSaaSなどITサービス活用フェーズまでのプロセスを短時間で学べる。コースは2日間の「IT経営ストラテジコース」と3日間と5日間の「IT経営マネジメントコース」。前者は経営改革の企画・推進者向けで、後者は業務改革の実務担当者やITベンダーのSEを対象として内容が営業向きに構成されている。もちろん、ITC資格取得を目指す人や資格が失効したけれども復帰を志す人も参加できる。受講料は一般で10万円(税別)など。

 日程やカリキュラムは、構成をカスタマイズすることもできる。そのため、法人内の研修として利用することもできる。講師はITCで、この研修の講師養成研修を修了した人が担当する。研修内容は実務的で、ケース企業の情報やグループ演習、プレゼンテーションなど、実際の事例を想定した講義が組まれているのが特徴だ。

 ITCの資格は、中小企業のIT経営支援のために10年前に創設された。だが、「今回の研修は企業の規模にかかわらず、IT経営の真髄を学んでもらう機会にしたい」(関会長)という。

 野村総合研究所(NRI)によれば、国内大手企業のうち、「経営戦略とIT戦略を一体的に策定している」と答えたのはわずか20%。一方で、「経営戦略とIT戦略を一体的に策定することが望ましい」との回答は約60%に達している。この調査からも、IT経営を実現したくてもやれない企業が多いことが分かる。

 ITコーディネータ協会では、すでに実績を上げているITC/PGLを手本に、国内の企業にこの手法を広めようとしている。クラウド時代の到来とともに、よりIT知識を深め、ITを経営にどう生かすべきかが問われてくる。こうした研修で実務能力を磨く必要性が高まっているのだ。