所有から利用へ

嶋本正 社長
 IT資産を「所有」から「利用」する形態への流れは、すでに止められないほど勢いを増している。サービスとして「利用」するクラウド型の領域では、より競争激化が進む。使い勝手のよいサービスを開発したベンダーが、その分野におけるデファクトスタンダードを獲得。こうしたクラウドの拡大により、個別のSIを手がけてきた従来型のベンダーは、顧客を失うケースが増えることも予想される。

 当社の例でいえば、主要顧客の1社である野村證券が、当社リテール証券業務向け共同利用型システム「STAR-IV(スターフォー)」の採用を決めた。2013年をめどに本格利用する予定だ。STAR-Ⅳは、中堅・準大手の証券会社を中心に、国内口座数ベースで約3割弱のシェアを占めている。今回、野村證券が加わることで、シェアは50%を超える見通しだ。リテール証券業務ではデファクトスタンダードのポジションを占めることになり、ビジネスをより有利に進めることができる。

 とはいえ、従来のカスタムアプリケーションが、消滅するわけでは決してない。顧客にとって、ほんとうに差異化しなければならないところは、お金をかけてでも開発し、手に入れなければならない部分だからだ。われわれ情報サービス産業は、質の高いソフト資産をサービスとして「利用」してもらう部分と、独自の設計・開発で「所有」してもらう部分の選択肢の幅を、これまで以上に広げていくことが求められている。