視点

中小企業に適したクラウドサービスを考える

2011/03/10 16:41

週刊BCN 2011年03月07日vol.1373掲載

 クラウドサービス市場の拡大を見込んで多くの関連企業が参入しており、一部ではすでに価格競争に入っているほどの加熱ぶりだ。

 前途有望なクラウドサービス市場ではあるが、サービス提供会社はニーズがみえにくい中小企業市場をどう捉えるかについて悩んでいるのではないだろうか。この観点でクラウドサービスと中小企業について考えてみる。

 クラウドサービスの利点(中小企業に対して主にSaaSの観点から)としては、(1)コンピュータ資産が節約できる、(2)自社に適合したサービスが必要なときに受けられる、(3)運用コストが低く抑えられる、という三点が重要である。中小企業がITを利用する場合には、「直接収益にかかわる投資」が大前提であるからだ。

 メールと社内情報管理は無償のクラウドサービスを利用すれば、三つの利点のすべてを受けることができる。そのほか、製造業であれば設計に使うCAD/CAM、サービス業であれば顧客/商品情報管理、全体的には受発注管理、社内経理がある。端的にいえば、従業員数十人以下の中小企業の収益にかかわるIT需要はこのレベルのものである(CAD/CAMに関してはまだクラウドサービスとしては実現されていない)。

 中小企業でも数十人以上の規模で、一定の販売員を擁する場合は販売管理/支援のクラウドサービス需要が必要とされ(社の方針が営業強化に決まっている場合に限定されるが)、一部では経営者向けの経営分析などもクラウドサービスとして有効であろう。

 クラウドサービス提供者が中小企業へのサービスをビジネスとして成功するためには、このようなアプリケーションにフォーカスすることである。また、新規の製品を勧めるときは、どの程度のコスト削減ができるかを納得させなければ利用を促進することはできない。

 もう一点、単一のアプリケーションを提供するだけでは企業向けビジネスとしては成り立ちにくいことを押さえておくべきだ。あるプラスチック加工会社(従業員33人)では、数年前からホームページで自社製品の販売を開始し、あわせて担当者が受発注業務システムを構築し直したところ、事務効率が飛躍的に向上して喜んでいるという話をうかがった。複合的なクラウドサービス提供の参考事例になるだろう。
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