クラウドビジネスには、保有する技術資源や資金力の多寡に応じて、さまざまな事業機会や参入アプローチが考えられる。技術資源や資金力が豊かな大規模事業者であれば、独自性を求めて自立型のIaaS、PaaS、SaaS事業を考えることだろう。一方、技術資源はあるものの資金力に劣る中小規模事業者は、初期投資を抑えた参入アプローチを取らざるを得ない。そのため、第三者によるIaaSやPaaS上に独自のクラウドサービスを構築して提供する「サービスプロバイダ」、特定サービスプロバイダのサービスにカスタマイズなどのサービスを付加する「サービスパートナー」、あるいはユーザー企業の要求に応じて異なるプロバイダの複数のクラウドサービスを組み合せて提供する「クラウドインテグレータ」となる可能性を模索することだろう。

 では、自ら保有する技術資源が不足している、あるいは販売する独自のサービスをもたない小規模事業者は、どのようにクラウドビジネスに取り組めばよいのだろうか? その答えの一つとして、付加価値再販事業者としてのクラウドビジネスへの参入アプローチが考えられる。クラウドビジネスは直販事業だと考える向きが多いことは事実だが、現実には直販事業だけでユーザー企業にクラウドサービスを浸透させることは容易ではない。ユーザー企業と直接向き合い、その企業の経営を改善するコンサルテーションを行い、役立つ適切なクラウドサービスを選定して、その導入過程をサポートする「クラウドブローカー」として事業を展開する機会をそこに見出すことができる。

 とはいえ、GoogleやZOHOのサービスを単純に再販するだけであれば、ユーザー単価からみても、その売り上げだけで生計を立てることは難しい。クラウドサービスは単品ごとにバラ売りしても儲かるものではないし、それだけではクラウドブローカーとしての存在価値をユーザーに訴求することはできない。クラウドサービスの再販で大切なことは、種々のクラウドサービスを異なるプロバイダから選択的に集めて、そのなかからユーザー企業に適したものを取捨選択し、さらには集約して提供するという考え方である。このとき、利用されるすべてのクラウドサービスについて、ユーザー管理や課金管理は単一のインターフェースにまとめられていることが望ましい。クラウドビジネスの興味深い点は、このようなことを実現するための仕組みもまたクラウドサービスとして提供されるということにある。