フェルト製品や関連製品の加工・製造販売を事業とする梶フエルト工業(梶朋史代表取締役)は、iPadを活用して製造現場の業務効率を向上させた。すでに「サービスの向上」「顧客満足度の向上」「迅速な意思決定」に、目に見える効果が現れ始めている。

 同社は、自社で構築したデータベースソフト「Microsoft Access」のシステムで生産管理のデータを管理している。ただし、事務所と一部の作業工程のみでシステムを使用できる状況にとどまっていたため、製造現場のほとんどで紙の図面・作業標準を活用。「Microsoft Excel」で管理している図面・作業標準・検査指示書などを、各従業員が事務所で印刷し、製造現場に持っていく必要があった。

 現場では膨大な紙の資料が行き交うことになり、従業員の勘違いやミスを誘引していた。加えて、顧客からの要望で図面などに修正が入った場合は、事務所が管理する最新版の資料と現場にある旧資料が混在してしまうことも起きた。

 業務環境に問題意識をもっていた梶代表取締役は、iPadに目をつけた。その時すでに、個人的にiPadを購入していたという。「発売当日に店に並んで2台(Wi-Fi+3G版)購入した」。1か月ほど経過してから、アップルの法人窓口で5台(Wi-Fi版)を手に入れた。

 計7台のiPadのビジネス利用を後押ししたのがITコーディネータ(ITC)の廣木秀之氏だった。これまでに、約10年ぶりとなる梶フエルト工業のホームページ(HP)のリニューアルに関わっている。HPでは、注文方法のほか、多品種・少量・短納期に対応している点や生産設備に最新機器を導入していることなどを大々的にアピール。SEO対策も講じて、新規顧客の開拓につなげた実績をもつ。

 当初、iPadの活用にあたって、検討の土台に上がったのが「Googleドキュメント」などのクラウドサービスだった。利用シーンとして想定したのはこうだ。まず、事務所でPCにドキュメントファイルをアップロード。生産現場では、iPadで生産情報(図面、作業標準、検査指示書など)の管理・照会にクラウドを利用するというものだった。しかし、ここで壁にぶつかったのである。(つづく)(信澤健太)

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