フェルト製品や関連製品の加工・製造販売を事業とする梶フエルト工業は、IT経営の確立に向けた取り組みを10年以上前から推進している。

 ITシステムの企画・導入・運用までを一貫して、梶朋史代表取締役が主導してきた。その甲斐があり、2004年度から08年度まで売上高は毎年度プラス成長を遂げてきたが、08年9月に起きたリーマン・ショックで状況は一変。ITコーディネータ(ITC)の廣木秀之氏の協力を仰ぎ、競争力強化に向けたIT改革に着手した。その成果は、大手数社から受注を獲得するなど、売上高の伸びに現れている。

 同社は梶代表取締役の判断で、基幹業務システムを10年以上前に導入した。ただ、多品種・少量・短納期などの業務形態に十分に対応できない部分があったため、データベースソフト「Microsoft Access」で補完する方法をとってきた。「現在は、請求書発行と売り上げ計上の際の入力だけはパッケージを利用しており、基幹業務は『Access』に頼っている。アドオンという選択だったら数百万円はかかっただろう」(梶代表取締役)。受発注から生産、検査、梱包、出荷までの基幹業務プロセスを一元管理できるシステムとなっている。

 受発注には、Faxサーバーを導入し、すべての受信・発信のFaxデータを電子化して保管。ユーザーから寄せられる過去の受発注情報に関しての問い合わせに、すぐに回答できるようになっている。ユーザーからの図面情報や社内での検査情報なども電子化されてサーバーに格納されている。

 同社の一連のIT化のなかで、ITCの廣木氏は、約10年ぶりとなるホームページ(HP)のリニューアルに関わることとなった。HPでは注文方法のほか、多品種・少量・短納期に対応できる点や生産設備に最新機器を導入していることなどを大々的にアピール。SEO対策も講じ、梶代表取締役は「これまで受注実績がなかった大手企業がHPを見て発注してくるようになった。昨年、HP経由の受注金額は250万~300万円はあった」と確かな効果を実感している。

 VPNによる社外からのネットワーク接続環境も構築し、外出や出張時でも案件に迅速に対応できるようになった。現在は、モバイル環境のさらなる充実に向けた取り組みを進めているという。(信澤健太)

オフィスに隣接している工場。多品種・少量・短納期が強み