IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>74.遠赤青汁(上) 韓国の老舗百貨店で販売を開始

2012/04/19 20:29

週刊BCN 2012年04月16日vol.1428掲載

 ITコーディネータ(ITC)の支援活動を紹介するこのコーナーでは、ユーザー企業が情報システムを活用して経営の改善に取り組む過程を継続的に追っている。今回は、昨年7月に初めて取材した健康食品メーカーの遠赤青汁を再度取材し、経営改善の進捗状況をうかがった。

 愛媛県東温市の遠赤青汁は、有機栽培した緑黄色野菜のケールを乾燥し、粒状にした青汁製品をはじめとして、健康食品や化粧品の製造・販売を手がけている。同社は高級デパートを主な販売ルートとしているが、ネットショップを開設しており、通信販売を拡大しているところだ。ネットショップの立ち上げなど、遠赤青汁でITシステム改革の指揮を執っているのは、企業内ITCを務める渡部一恵CIO・インターネット担当である。

 遠赤青汁は、通信販売の拡大と連動して、製品の海外展開に力を入れている。代表取締役の高岡照海氏は、今年に入って、現地の代理店探しやバイヤーの選定などで、台湾や韓国など、頻繁にアジア諸国に出かけている。「韓国では今、ソウルの老舗デパートである新世界百貨店に乗り込んで販売を展開している。関税や有機栽培認証への理解など、いろいろとハードルはありながらも奮闘している」と、直近のビジネス状況を語る。

 同社は、海外販売の拡大に伴って顧客情報などが増大してきた。そこで渡部ITCは、昨年、クラウド型でのデータ管理を検討し、通販ソフトのクラウド化も進めてきた。しかし、システムのクラウド化にあたり、予想しなかった問題に直面したのだ。「東温市では昨年9月末にいよいよ光通信が開通し、これから本格的にクラウド活用ができるとみていたが、通信環境がぜい弱なので、データ処理の速度がかえって遅くなった」(渡部ITC)というのがその問題だ。「その結果、迅速なデータ処理を重視して、クラウドの導入を見直すことになった」という。

 渡部ITCは、いったんクラウド型のデータ管理ソリューションを導入したが、「導入後に通信環境がまだまだ整理できていないことが明らかになって、クラウドソリューションの撤去を決めた」と経緯を語る。(つづく)(ゼンフ ミシャ)

通信販売の拡大に取り組んでいる
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