視点

小規模事業者のクラウドビジネスへの挑戦

2012/05/10 16:41

週刊BCN 2012年05月07日vol.1430掲載

 小規模事業者のためのクラウドビジネス参入支援活動として、一昨年末から始めた「みんなのクラウド」プロジェクトがようやく実を結び始めた。この原稿を書いている時点で最初の一社が立ち上がり、現在立ち上げ準備中の企業が数社あるという状況である。「みんなのクラウド」第一号となった企業には地域の政府機関や報道関係者も関心を示してくださっているようで、まずまずの船出といっていいだろう。

 「みんなのクラウド」プロジェクトは、一般社団法人SaaSクラウド・パートナーズ協会の活動の一環として、小規模事業者がクラウド事業に参入するためのエコシステムの構築を事業として実践する目的で始まった。クラウド事業を推進するには、市場に認知されやすいブランドが必要と考えて、「みんなのクラウド」という誰もが親近感をもてそうな名前をつけた。そして、この活動に参加する企業は「みんなのクラウド◯◯」と名乗り、いろいろな地域で同じ名称を使うことでその知名度を高めようと考えた。

 次に、クラウド基盤を構築する技術とクラウドサービスを再販する技術的枠組みを参加企業の間で一緒に学び、共有し、支援し合うという方針を決めた。クラウド基盤構築にはすでに市場で名の通っているフリーウェアを使い、著名なIaaSプロバイダとの互換性に留意しながら運用することにした。こうして参加企業個々が構築し、運用する小規模なクラウド基盤を相互利用することによって、広域に分散する災害に強いクラウドが構成される。参加企業はこの基盤上に自ら開発したクラウドサービスを仮想アプライアンスサーバーとして構築し、それを参加企業相互に提供し合う。このようにクラウド基盤技術を共有し相互互換性を保つことにより、相互に運用システムのバックアップが可能になり、またそこに仮想アプライアンスサーバーを参加企業個々の製品として流通させる基盤ができる。

 さらに、「みんなのクラウド」を株式会社化し、これがクラウド技術ベンダーと提携することにより、共同仕入れというかたちですべての参加企業がクラウド先端技術を利用できる体制も用意した。

 これまでの情報産業構造が崩壊し、ビジネスが大きく変わった今日、小規模事業者は、自ら新たな情報通信技術に挑み、情報産業を再構築する気概をもってこの厳しい時代に正面から立ち向かうべきだと、私は思う。

一般社団法人みんなのクラウド 理事 松田利夫

略歴

松田 利夫(まつだ としお)
 1947年10月、東京都八王子市生まれ。77年、慶應義塾大学工学研究科博士課程管理工学専攻単位取得後退学。東京理科大学理工学部情報科学科助手を経て、山梨学院大学経営情報学部助教授、教授を歴任。90年代に日本語ドメインサービス事業立上げ。以降、ASP、SaaS、クラウドの啓蒙団体設立に参加。現在、「一般社団法人 みんなのクラウド」の理事を務める。
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