2000年前後に創業したITベンチャー企業の多くは、IT投資熱の高まりを受けて一世を風靡した。だが、インターネットバブルはまもなく崩壊。生き残ったのはごくわずかだった。2011年頃から、再びIT企業のスタートアップ(起業)ブームが起きているが、淘汰の波は今回も容赦なく襲ってくるだろう。

 時代に翻弄されるITベンチャーが多いなかで、創業から10年以上にわたって挑戦し続けるITベンチャーが存在する。ウェブアクセス解析を強みに成長し、新規事業で飛躍を狙うオーリック・システムズだ。

 同社は、今年、設立10周年を迎えた。新日本製鐵で大規模システムの開発などを担当し、米国に滞在していた幾留浩一郎社長(AuriQ Systems社長兼CEO)が、1997年に米国・カリフォルニアで立ち上げたAuriQ Systemsがオーリック・システムズの前身だ。幾留社長は、「米国には優秀な人がたくさん集まってきて、起業している。でも日本人はいない。こうした状況を変えたいと思った」と話す。

 当初は、クレジットカードの決済を一元化してトランザクション処理を効率化する仕組みを通信キャリア向けに提供することを検討したが、「時期が早すぎた」(幾留社長)。

 現在は、2001年に発売したウェブアクセス解析ソフトウェア「RTmetrics」とシステム監視ツール「RTbandwidth」が、事業の柱に成長している。ネットワークに流れるパケット情報を取得するパケットキャプチャ方式を採用しており、リアルタイム解析や複数サイト間の行動解析などが可能だ。ユーザーは400社余りを数える。「巨大なトラフィックをもつ企業にとってメリットが大きく、月間数千万PV(ページビュー)を誇るサイトを運営するユーザー企業が多い」(幾留社長)。

 強みとするウェブ解析は市場として安定しているが、伸びしろがさほどない。さらなる成長を期すために注目しているのが、モバイルとソーシャルだ。100%子会社であるmaqsが「ripora」を展開している。「ripora」は、参加無料のGPS(位置情報)を利用したソーシャルアプリ/プラットフォームだ。ユーザーがレポーターとなってお気に入りの店やおすすめの商品・サービスを投稿したり、他のユーザーの投稿を「評価」「活用」しながら情報共有したりできるランキングサービスとなっている。位置情報と連動した店舗や施設の検索もできる。

 幾留社長は、「スタートアップ企業と同じ気持ちで挑戦をする気持ちだ。グローバル進出を視野に入れている」と意気込んでいる。(信澤健太)