燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> Facebookページの「いいね!」で集まる“ゆるい”グループ――Japan Oracle User Group(JPOUG)

2013/11/27 20:28

 「Japan Oracle User Group(JPOUG)」には、会員名簿がない。JPOUGのFacebookページで「いいね!」を押せばメンバー(会員)ということになり、それ以上の管理はしていないからだ。一般的なユーザー会にみられる「会長」もいない。6人のボードメンバーがいるものの、JPOUGの運営にかかわりたい有志が集まっているにすぎない。日本オラクル公認のユーザーグループでありながら、自然発生的に生まれ、自由に活動している。他に類を見ない緩い組織だが、JPOUGにかけるメンバーの思いは熱い。

孤独で重責を担うDB技術者

 JPOUGには、会費がない。そもそも入会というきっちりとした事務処理がなく、入会手続きはJPOUGのFacebookページ(https://www.facebook.com/jpougfan)で「いいね!」ボタンを押すか、Doorkeeper(http://jpoug.doorkeeper.jp)のJPOUGコミュニティに参加するだけでメンバーということになる。それゆえ、名簿は存在しない。運営に必要なのはホームページの費用がほとんどで、そこは有志が出し合っているという。

 参加にあたっては緩い感じのJPOUGだが、れっきとした日本オラクル公認のユーザーグループである。日本オラクルからの資金的な援助はないが、セミナーやイベントの開催には日本オラクルのミーティングルームなどを借りる程度のサポートはある。

 JPOUGの発足は2011年と、比較的新しい。日本オラクルには、1998年に発足した「日本Oracle Applications Users Group(日本OAUG)」というアプリケーション製品群のユーザーグループはあるが、データベース(DB)のユーザーグループはなかった。日本オラクルやDBの歴史を思うと、それまでなかったのが不思議なくらい――ボードメンバーの一人、新久保浩二氏は、そんな思いを抱いていた。「海外にOracle User Groupがあるのに、なぜ日本にはないのだろう」。新久保氏は、海外のOracle User Groupが開催したイベントに参加して、その思いを強くしたという。

 JPOUGの発足以前も、さまざまな企業や団体が主催する小規模な勉強会はあった。国内のDB技術者はそれを頼りにしていたが、それだけではもの足りないということで、自然発生的にJPOUGの設立へと盛り上がっていったという。「やはり、書籍などの情報だけでは満足できない。DBがもつ機能のよし悪しも含めて、実際に活用している人の話などを聞くことができる場がほしかった」と、ボードメンバーの一人、渡部亮太氏は語る。

 同じくボードメンバーの一人、関口裕士氏は、「DBはスペシャリストが少ないので、こういう場はとても貴重だ」という。システム開発の現場では、100人規模のプロジェクトでもDB技術者は一人いるかいないか。日々の仕事で、情報の共有・交換が難しい環境にある。「それでいて、設定のミスは許されないというプレッシャーがある」(関口氏)。情報システムにとって最も重要なデータが集まる部分を預かっていることから、DB技術者の責任は重い。そうしたプレッシャーにさらされた環境で、苦悩を共有できる場を、多くのDB技術者が必要としていたという。

ベンダーに左右されない活動

 JPOUGは、2か月に1回を目標にイベントや勉強会を開催している。日本オラクルのパートナー企業とセミナーを共同開催することもあるが、基本的にはベンダーに左右されない活動をしている。ボードメンバーの一人、諸橋渉氏は、「ベンダーは、立場上、きれいごとを言わなければならない。例えば、新しいバージョンをリリースすれば、ベンダーとしてはユーザーにはバージョンアップしてもらいたい。一方のユーザーは、簡単にはバージョンアップしたくない」と語る。あくまでも、DB技術者同士の情報交換の場であり、日本オラクルの公認組織ではあるが、活動は日本オラクルから独立しているのである。

 それを許す日本オラクルの懐の深さを感じるが、実は、全世界のユーザーグループを包括し、JPOUGも加盟している「The International Oracle User Group Community(IOUC)」をはじめ、各地の組織も同様の方針だという。

 JPOUGの運営を支えるボードメンバーは、現在6人。やりたいと思う人が手を挙げた。セミナーなどをセッティングするが、リーダーシップは執らず、グループをまとめるようなこともしないという。これは情報を預かるシビアな役どころのDB技術者にとって、必要な“緩さ”なのかもしれない。

ボードメンバー6人のうちの5人。
写真左から、インサイトテクノロジーの山下正氏、個人事業主の関口裕士氏、
インサイトテクノロジーの新久保浩二氏、コーソルの渡部亮太氏、
日本ヒューレット・パッカードの諸橋渉氏。



【概要(2013年11月現在)】

入会資格: JPOUGのFacebookページで「いいね!」を押せる人。
入会金: なし
会費: なし
会長: 設定なし
主な活動: セミナーや勉強会などを中心とした情報交換。
会報誌: なし
会員企業数: 不明
発足: 2011年
その他: IOUC(The International Oracle User Group Community、http://www.iouc.org/)に加盟
イベント/セミナー: 月間2回を目標にセミナーや勉強会などを開催している。
  • 1

関連記事

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> ジェスチャー認識に可能性を見出した倉敷中央病院――全NEC C&Cシステムユーザー会

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> 充実した人材育成プログラム。女性向け講座も好評――東芝ITユーザ会

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> もしユーザー会でドラッカーを学んだら――日立ITユーザ会

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> ユーザー企業の共通課題に力点――EMCジャパン ユーザ会

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> 国内最大規模の“熱い”ユーザー会――全国IBMユーザー研究会連合会

外部リンク

Japan Oracle User Group(JPOUG)=http://www.jpoug.org/

JPOUGのFacebookページ=https://www.facebook.com/jpougfan