燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> 若手の育成からメインフレームの活用まで――日立ITユーザ会

2013/12/16 20:28

 日立ITユーザ会の発足は1964年。当初は日立製作所のメインフレームを利用しているユーザー企業が対象で、「HITACユーザ研究会」という名だった。その後、創立40周年を記念して、2003年に「日立ITユーザ会」に改称。現在は「情報共有」「人材育成」「異業種交流」の三つをポリシーに活動し、なかでも若手人材の育成に力を入れている。

メインフレームについても議論できる

 日立ITユーザ会の主な活動は、分科会とワークショップ(研究会)の二つ。分科会は全国活動で、大きなテーマを掲げて何年か継続して活動する。現在は「金融分科会」「科学技術分科会」「社会・公共システム分科会」「IT利活用分科会」がある。分科会への参加は、意思を伝える程度で、セミナーへの参加が主な活動になる。論文などの成果を必須にはしていない。

 一方のワークショップは、旬のテーマを取り上げ、1年間のサイクルで支部ごとに活動する。年に4~5回はメンバーが集まって議論を交わし、その成果は「日立イノベーションフォーラム」などで発表する。2013年のワークショップは、関東で「メインフレームの最適化」「スマートデバイス」「ビッグデータ」の三つ。

 旬のテーマを取り上げるが、「メインフレームの最適化」が入っているのはなぜか。「大手企業にはメインフレームが残っている。一方で、オープンシステムやクラウドも活用している。『みなさんはメインフレームをどのように運用しているのか』という話が会員からぽろっと出た。同じ悩みを抱えている会員は意外に多いので、ワークショップにした」と、日立ITユーザ会の鈴木喜之事務局長はメインフレームのワークショップが始まったきっかけを語る。

 ワークショップは1年サイクルで見直しているが、なかには長く続くテーマもある。例えば、「IT利用技術分科会」は、もともとはワークショップ。1990年代半ば、インターネットが出始めた頃に、最先端の技術をキャッチアップするために始まったもので、継続を望む声が多く、分科会として全国規模の活動になった。

チャレンジ論文で若手の育成に力点

 日立ITユーザ会の活動は、大きく全国活動と支部活動に分かれる。全国活動としては、春の大会と秋のシンポジウムという2大イベント、前述の分科会、海外視察、論文。全国10か所の支部での活動は、前述のワークショップのほか、各種セミナーや親睦会などだ。

 日立ITユーザ会のポリシーは「情報共有」「人材育成」「異業種交流」の三つ。なかでも最近力を入れているのは、人材育成だ。セミナーやワークショップでテーマにしているだけでなく、論文では今年から「チャレンジ論文」という“若手枠”を用意した。チャレンジ論文の応募条件は、30歳未満。44編の応募のうち、7編が若手による論文だった。ユーザー会事務局は、「研鑽の場として活用していただくことで、他のユーザー企業と競う場にしてほしい」(鈴木喜之事務局長)と考えている。優秀論文は、大会やシンポジウムなどで発表の機会を与えられるほか、大会論文集としてまとめられ、ユーザー会の会員サイト上に掲載される。また、通常の論文枠では、特賞論文に副賞として50万円が贈られる。

次の50年へ

 日立ITユーザ会の年会費は、設立当初から2万4000円。ユーザー会の会報誌『HITACHI USER』は隔月で発行している。会報誌には650円の定価がついているがこれは会員の要望によって記載しているもので、書店などで購入することはできない。会員が2万4000円の会費を支払うために、社内の説得材料の一つとして定価を設定しているわけだ。

 会の成り立ちがメインフレームのユーザー会ということから、当初の会報誌は数式やアルゴリズムなどの記事が多く、論文集のような内容になっていたという。現在では、活動報告や活動予定、会員の声に加え、コラムやIT分野以外の第一人者のインタビュー記事など、工夫を凝らした内容になっている。

 2013年に50周年を迎えた日立ITユーザ会は、5月23・24日に第50回記念大会を開催した。記念講演には宇宙飛行士の毛利衛氏、元内閣総理大臣の小泉純一郎氏が登壇し、延べ2000人を超える会員が参加した。記念大会のテーマは「時代の創生 ~夢に向かって限りなき挑戦~」。次の50年に向けて、新たな一歩を踏み出した。

右から、日立ITユーザ会事務局の谷口文彦氏、鈴木喜之事務局長、玉山英樹氏。

【概要(2013年11月現在)】

入会資格:日立のIT関連商品(ハードウェア、ソフトウェア、ソリューション、サービス)を利用している企業・団体
入会金:なし
会費:2万4000円/年
会長:清水東吾(みずほ情報総研)
主な活動:春の大会、秋のシンポジウムという二大イベント、分科会、そして海外視察を各支部横断の全国規模で実施。支部ごとのセミナーやワークショップなどもある
会報誌:「HITACHI USER」(隔月発行)
会員企業数:約1200社
発足:1964年
その他:FISA(情報システム・ユーザー会連盟)に加盟
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外部リンク

日立ITユーザ会=https://www.it-user.hitachi.co.jp/