前号では、NECグループが独自に開発したキーコンポーネントを軸に、中国でシステム開発の競争力を高めていることをレポートした。NECグループは、中国の北京や済南（山東省）、杭州（浙江省）などに開発拠点を置いており、動員できる開発人員はおよそ5500人。日系ベンダーでは最大クラスとなる。

主要開発拠点の統合運用を重視

　歴史を紐といてみると、済南の拠点は旧NECソフトの主導で立ち上げ、杭州拠点は旧NECシステムテクノロジーが中心となって運営してきた経緯がある。今はNECの中国での統括会社の傘下に再編されているが、旧NECソフトなど国内地域SE会社との協力関係は続いていた。だが、4月1日付で、日本の旧NECソフトなどは他の国内地域SE会社とともに「NECソリューションイノベータ」へと再編。中国の開発拠点との関係も変化が現れ始めている。

　これまでは、国内の旧地域子会社それぞれの特色が、中国の開発拠点にも少なからず影響を及ぼしていたが、国内の地域SE会社が統合された事情から、「中国でも意識的に各社の差異を少なくし、仮想的な1社のように連携を強めている」（北京に本社を置くNEC卓越軟件科技＝NEC-ASの森正総経理）と、連携強化による規模のメリットの追求を加速。前述のキーコンポーネント戦略と組み合わせて競争力を一段と高めていきたいとしている。（安藤章司）