コストパフォーマンスの高いクラウド基盤として、中小企業を中心に多数のユーザーを抱えるGMOクラウド。ホスティングからクラウドへとサービスが進化したことで、システム構築のノウハウが求められる場面が増加。新たなパートナー制度を展開して、需要に対応している。(日高彰)
1996年に開始したホスティング事業を源流とするGMOクラウド。ウェブ制作会社を中心に多数の企業と販売パートナー契約を結んでおり、同社の「セールスパートナー」プログラムには、実に6700社余りが参加している。
同社はレンタルサーバーからVPS(仮想プライベートサーバー)、そしてIaaS型クラウドへと、技術のトレンドに合わせてサービスを進化させてきたが、市場の需要もより複雑なものになってきている。
GMOクラウドの松下昇平・社長室長兼マーケティング部長は「コストや運用効率などクラウドのメリットが認知され、中小規模のユーザーも業務におけるクラウド活用に目を向けつつある」とみている。安くて安定稼働するウェブサーバーがほしいといった従来のニーズが、業務システムのクラウド移行といった高度な要求に変化してきているというわけだ。このため、従来のパートナーとの間だけでは構築・運用が完結しない案件や、クラウドを利用して実現したいことを抱えるユーザー企業から、ノウハウをもつSIerの紹介を依頼されるケースが増えているという。
そこで、同社がおよそ1年前から新たに設けたのが「ソリューションパートナー」と呼ばれるプログラムだ。これは、特定の分野について高い技術を有するSIerを主な協業先とする制度で、GMOクラウドへ問い合わせのあったSI案件をパートナーへ紹介するもの。しかも、単に依頼を取り次ぐだけでなく、要件のヒアリングや価格交渉なども含めてGMOクラウドがフロントに立ち、パートナーとの共同提案のかたちをとるのが特徴になっている。営業力が限られる中小SIerも、営業活動に必要以上の時間を取られることなく新規案件を増やしていくことができる。成約案件数は順調に伸びており、パートナーからも好評という。
ECサイトや業務アプリケーションのシステム改修・データ移行、クラウド基盤の監視・運用といったピンポイントのノウハウが必要な分野で協業を進めているが、「ソリューションパートナーの間で得意分野が重複するのを防ぐため、現在は主に当社側から呼びかけるかたちでパートナーを開拓している」(西木有理・営業部第2セールスグループチーフ)といい、社数も絞ったうえで制度を運用している。ただ、SIを要する案件は日々増加しており、需要にあわせて協業先も増やしていく必要がある。腕に覚えのあるSIerはぜひ声をかけてほしいとしている。
また、SIerやソフト開発会社の間では「自社でもSaaSを展開したい」という意向が強い。GMOクラウドはこのニーズに応えるプログラムも用意している。(つづく)

松下昇平・マーケティング部長(左)
西木有理・営業部チーフ