マイナンバービジネス最前線
<迫り来る1月!熱気を帯びるSIerのマイナンバービジネス最前線>最終回 公共・金融分野で存在感あり 底堅いマイナンバー関連需要
2015/11/19 16:04
週刊BCN 2015年11月16日vol.1604掲載
マイナンバー(社会保障・税番号)制度の一般企業における情報システム関連の商談は、ほぼヤマ場を越えた。これからは、金融機関や関係する役所におけるシステム改修に、ITベンダーのビジネスの主戦場が移っていく。社会保障と税務に関わる広い範囲でシステムの改修が今後も行われる見込みだ。例えば、銀行口座や金融商品、不動産などをマイナンバーで紐づけて、課税の適正化や公的扶助の必要の度合いを判断しやすいようにしたり、所属する健康保険組合が変わっても健診情報を引き継げるようにするといった利便性を実現していくものとみられている。
公共・金融分野で強みをもつNTTデータの岩本敏男社長は向こう数年間、「公共、金融分野におけるマイナンバーへの制度対応の需要が見込める」としている。また、健康保険組合の顧客を多くもつ日立系SIerのニッセイコムの松井英一・パッケージソリューション事業本部本部長は2016年以降、「健保組合でのシステム改修が本格化していくだろう」と話す。
16年1月以降、申請者に交付されるマイナンバーカードは、本人確認の認証に活用される見通しだ。かつての住民基本台帳カード(住基カード)は、有料ということもあり、ほとんど普及しなかったが、マイナンバーカードは無料でかつ、民間での利用も含めて利便性を高めることで、19年には8700万枚程度の普及を見込んでいる。
これまで、運転免許証や住民票、戸籍抄本などを本人確認に使ってきた。これからは、住民はマイナンバーカード“1枚”で役所や金融機関など、ほぼすべての手続きで本人確認が可能になる見込みだ。
ただ、民間企業でのマイナンバーカードの利用範囲については、まだ紆余曲折が予想される。役所や公益性が高い金融機関でのマイナンバー活用は大きな問題にならないとしても、例えば、NHK受信料の徴収にマイナンバー活用の話がNHK側から出ると、即座に賛否両論が湧き起こった先般のことを考えると、一般の民間企業がマイナンバーを代金回収などの目的で商用利用できる可能性は、それほど高くない印象すら受ける。
マイナンバーはあくまでも社会保障・税番号であり、その性質上、ここから大きく逸脱する領域では使いにくい。可能性があるとすれば、社会保障と密接に関連する医療・介護分野である。とはいえ、マイナンバーが活用されるのは健康保険に加入しているかどうかの資格有無の確認までで、医療や介護の中核的なシステムである「地域医療連携ネットワーク」や「地域包括ケアシステム」は、プライバシーへの配慮からマイナンバーとは別の符号が使われる可能性が高い。
こうしたことから、今後のマイナンバーのビジネスは、役所や金融機関、健康保険組合など主に公益団体などの既存のシステムとマイナンバーとの連携、紐づけの対応がメインになっていく。役所や金融機関の各々の手続きシステムのマイナンバー対応や紐づけに必要な改修は、ITベンダーやSIerにとって向こう数年間のビジネスとして期待されている。
国内IT投資のなかで、マイナンバー関連はある一定の底堅い需要がみえている分野であるといえそうだ。(安藤章司)
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