ここに注目!ニッポンのパートナー戦略
<ここに注目!ニッポンのパートナー戦略>第50回 ディー・ディー・エス 「多要素認証」必須の業界にチャンス
2016/11/02 20:28
週刊BCN 2016年10月24日vol.1650掲載
指紋認証で大きなシェアをもつディー・ディー・エスが、同社の生体認証ソリューションを対象とするパートナープログラムを立ち上げた。多要素認証が必須要件となる案件が増えたことで需要が大きく拡大しており、SIer・IT販社にとっても認証は今ホットな商材となりつつある。(日高 彰)
ディー・ディー・エスは、ユーザーの生体情報を利用する認証ソリューションを主力とするITベンダーだ。とくに指紋認証技術では高い評価を得ており、PC向けの指紋認証製品で大きな市場シェアを獲得している。
従来、エンドユーザーに対して製品やシステム構築サービスを直接提供する形態を中心としており、SIerやIT販社を通じた間接販売は個別の問い合わせに応じて行う範囲にとどまっていた。しかし、顧客やパートナーとの取引が案件単体で終息してしまうことが多く、継続的な関係構築が十分に行えていないという問題があった。また、最近では「自治体情報システム強靱性向上モデル」の要件として、地方自治体のマイナンバー取り扱い端末ではID・パスワードに加え、ICカードや生体情報など他の要素も用いることが必須となったことから、認証製品の重要が急増。自社だけでは引き合いに対応しきれなくなりつつあった。
このため今年7月、新たに「DDS認定販売パートナー制度」を設け、販売パートナー経由の商流を体系化した。募集するパートナーは、製品をエンドユーザーに販売する「リセラー」、販売会社向けの卸売を行う「ディストリビュータ」、自社ブランドで商品提供を行う「OEMパートナー」の3種類で、リセラーとディストリビュータについてはさらに、営業活動のみを行う「Authorized」と、システム構築やサポートまで行う「Value Added」の2カテゴリにそれぞれ分かれている。前述のとおり、現在多くの案件を抱えていることから、とくにValue Addedカテゴリのパートナーを獲得し、システムの「生体認証化」を求める顧客に対して、より迅速に製品を提供できる体制を整えたい考えだ。Value Addedのパートナーには、技術研修として全2日間のトレーニングプログラムを用意している。また、パートナー制度で支援内容は体系化するものの、ディー・ディー・エスでは引き続き個別のカスタマイズ等にもできるだけ柔軟に対応していくとしている。
自治体のシステムだけでなく、医療分野でも厚生労働省の「医療情報システムの安全管理ガイドライン」で多要素認証が推奨されているほか、教育委員会・学校の情報システムについて文部科学省の有識者会議でセキュリティに関する提言がまとめられており、これらの業界の顧客をもつSIerでは多要素認証ソリューションを取り扱えることが今後必須になりそうだ。
またディー・ディー・エスでは、新製品で新たに「動画顔認証」に対応し、指紋や静脈に加えてユーザーの顔を認証要素として使用できるようになった。顔の撮影にはPC内蔵のウェブカメラなどで十分対応が可能で、ユーザーが離席時に端末を自動ロックするといった使い方もできる。同社ではニーズの拡大を追い風にしながら、新技術と今回のパートナー制度を導入することで、ビジネスを加速させる考えだ。
指紋認証で大きなシェアをもつディー・ディー・エスが、同社の生体認証ソリューションを対象とするパートナープログラムを立ち上げた。多要素認証が必須要件となる案件が増えたことで需要が大きく拡大しており、SIer・IT販社にとっても認証は今ホットな商材となりつつある。(日高 彰)
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