ドロップボックス・ジャパンが、オンラインストレージサービス「Dropbox」のリセラー向けパートナープログラムを国内でも本格導入する。パートナー各社を通じて、ワークスタイルの変革とファイルサーバーの移行を同時に実現できるソリューションとして、主に中堅・中小企業向けの訴求を強化するのがねらいだ。(日高 彰)

マーカス・ロー
アジア チャネル担当責任者 Dropboxは他の大手SaaSベンダーと同様、シリコンバレー生まれの「クラウドネイティブ」な企業だ。しかし、同社でアジア太平洋地域のチャネル担当責任者を務めるマーカス・ロー氏は「オンライン販売や直接営業だけでなく、パートナーエコシステムを構築して規模の拡大を図るビジネスを目指しているのが特徴」と述べ、顧客にきめ細かいサービスが提供できるローカルパートナーを重視している点を強調する。
Dropbox自体は一般消費者にも広く使われているサービスだが、同社では企業のIT管理者が求める、ファイルへのアクセス権の設定や操作ログの記録など、管理・セキュリティの機能が充実した法人向けエディション「Dropbox Business」を用意している。これらの機能を生かし、既存のファイルサーバーからの移行や、すでに導入しているワークフローとの統合など、企業のシステムや組織に合わせた提案を行うには、顧客の業務をよく知るパートナーの力が不可欠になるというわけだ。
日本国内では2015年にソフトバンク コマース&サービスがディストリビュータとなり、同社と同社パートナーのリセラー各社を通じて企業向けの販売やマーケティング活動を行っていたが、12月からはリセラーに対する支援内容をパートナープログラムとして体系化し、Dropbox Businessをより売りやすくするための環境を整える。
具体的な支援内容としては、トレーニングプログラム、営業・マーケティング資料や販売のための各種ツール、デモアカウントの提供などが含まれる。販売実績や、トレーニングを受けたスタッフの人数に応じて「Registered」「Select」「Elite」の3段階のパートナーレベルが用意されており、上位パートナーにはより充実した支援を提供する。国内でのプログラム開始時には、大塚商会、サテライトオフィス、システナ、アイ・オー・データ機器が参加したことが明らかにされており、このうち大塚商会は最上位のEliteパートナーとして世界初の認定を取得した。
また、ロー氏は「ユーザー企業は、パートナーに管理コンソールの操作をアウトソースすることができるので、パートナーはここでもサービスの収益化を図ることができる」と説明。専任のIT管理者を置けない中小企業に対しては、アカウント管理などDropboxの運用サービスも合わせて提供することで、パートナーはクラウドビジネスの収益性をより高められるのが特徴となっている。また、ディストリビュータのソフトバンク コマース&サービスではさまざまなクラウドサービスを扱っているので、リセラー各社はDropboxとそれらを組み合わせた提案も容易に行えるのが特徴となっている。(つづく)