NPO法人の日本情報技術取引所(JIET)は、案件や人財の紹介を活動の中心としているが、より充実した会員サービスを提供するために、次の一手を常に模索している。その一翼を“交流”の視点で担うのが、交流委員会だ。活動主旨について、丹羽吉久・交流委員長は「会員の皆様に価値のある支援を提供する」と説明する。目標は、JIETのサービスによって、会員企業のビジネス拡大をサポートすることにある。それには、会員数の増加も重要なポイントとなってくる。(取材・文/畔上文昭)
「CLUB JIET」
交流委員会は、会員向けサービスとして「CLUB JIET」を運営している。会員企業とソリューションベンダーのマッティングが、CLUB JIETの主な役割である。
丹羽吉久
交流委員長
CLUB JIETが想定するメンバーは、全国に活動を展開している大手ソリューションベンダー。CLUB JIETメンバーは、JIETが開催している各支部での商談会で自社サービスを紹介でき、JIETの懇親会などにも参加できる。登録料や会費は不要で、JIET会員名簿に掲載される。ただし、案件情報などが掲載されるJIET会員専用ウェブサイトは使用できない。
「CLUB JIETメンバーになるための条件は、パートナー施策をもっていること。直販のみでビジネスを展開している企業は、対象外とさせていただいている。JIETの会員が、CLUB JIETメンバーのパートナーとなることで、ビジネスの拡大のきっかけにしたいと考えている」と、丹羽委員長は説明する。そのため、CLUB JIETメンバーには、JIET会員向けに単にソリューションを紹介するだけでなく、販売支援、導入や保守などのノウハウを身につけるためのサポート、資格取得支援なども求めている。
また、CLUB JIETメンバーになるためには、全国をカバーしていることも条件となる。「全国の各支部がCLUB JIETメンバーに依頼すれば、商品やパートナー資格などについて説明してもらえるようにしたい。そのため、現時点のCLUB JIETメンバーは、大手ソリューションベンダーが多い」(丹羽委員長)という。交流委員会では、JIET会員が約700社であることをアピールし、今後もCLUB JIETメンバーの拡大に努めていく考えだ。
新たな支部設立を支援
JIETの会員が増えれば、会員向け情報の流通量が増えるきっかけとなるため、交流委員会では新たな支部設立に向けた活動も行っている。現在取り組んでいるのは、支部がない北陸地域と中国・四国地域。北陸地域は東海支部が担当していて、中国・四国地域は関西支部が担当しているが、各地域から距離があることから商談会などに参加しにくいため、会員数が伸び悩んでいる。そこで支部が必要というわけだ。
「支部の設立はかなり進んでいる。2016年3月に広島でパイロット商談会を実施したところ、約80名が集まった。かなり、手応えを感じている。また、北陸地域では、3月にはパイロット商談会の実施を予定している」と、丹羽委員長は順調さをアピールする。いずれの地域も、地域のSIベンダーとのネットワークづくりから始めて、信頼関係を築いている。今後は、支部長を担ってもらえる人の選定などを進めていくことを予定している。
中国・四国地区での支部設立を目指し、広島でパイロット商談会を開催
地方創生も後押し
支部の設立に向けた取り組みは、国策で進められている地方創生と無関係ではない。地域のSIベンダーに活気があれば、地方が元気になるきっかけとなるからだ。
「都市部で働くエンジニアのなかには、いずれ地元に戻りたいという声がある。JIETに転職サービスはないが、何かサポートできないかと考えている」(丹羽委員長)。そのためにも、日本全国をカバーできる支部体制が必要というわけだ。
また、クラウドの普及により、エンジニアはロケーションに関係なく仕事ができるという環境にある。ITを活用すれば、案件も共有しやすい。「ロケーションフリーの時代という点では、支部もネットワーク上で十分なのかもしれない。ただ、商談会などのリアルな場があったほうがいい」と、丹羽委員長は考えている。やはりキーワードは、“交流”である。