ブロックチェーン推進協会(平野洋一郎代表理事)は2月1日、金融機関へのブロックチェーンの普及・啓発活動を強化するために、「金融部会」を新設した。金融業界でもBCCCに対する関心が高まっている。(取材・文/本多和幸)
BCCCは、2016年4月の発足以降、幅広い業界向けに、ブロックチェーン技術の普及・啓発活動を展開してきた。本連載でも紹介したエンジニア向けのカリキュラムを提供する「ブロックチェーン大学校」などはその代表的な取り組みといえるが、こうした活動が功を奏し、会員は順調に増えている。16年12月15日現在で、109の企業・団体が加盟しているという状況だ。
ビットコインとともに誕生したという性質上、“FinTechの本命”といった位置づけで語られることも多かったブロックチェーンだが、BCCCは、金融領域に限らず、多様な用途で大きなメリットを発揮し得る技術としてブロックチェーンを扱ってきた。ただ、現実的には、ブロックチェーンに関心をもっているユーザー企業は金融機関が圧倒的に多く、BCCCに新規加入する金融機関も増えているという状況がある。さらに、BCCCや加盟企業に対して、金融機関から相談が寄せられる例も増えているという。こうした状況を受け、BCCCとして、金融業界向けのコミュニティを設置する必要があると判断した。
BCCCに新規加入する金融機関が急増中
平野洋一郎
代表理事
金融部会は、金融機関のニーズにマッチした情報を提供していくとともに、金融関連業務へのブロックチェーン適用の検討と普及を目指す。具体的には、定期的な勉強会を開いて情報共有を行うほか、BCCC会員のブロックチェーン専門企業が、金融機関などに技術的な助言を行い、ブロックチェーンの活用を支援する場としても機能させたい意向だ。
現在、BCCCは、ブロックチェーンの普及・啓発のためのセミナーやイベント、広報活動を行う「普及委員会」、協会全体の運営方針などを検討する「運営委員会」、ブロックチェーン技術の社会実験や実証実験などを行う「技術委員会」、会員のブロックチェーン適用の事例をウェブサイトでアウトプットし水平展開する「実用委員会」という四つの委員会で具体的な活動を行っているが、金融部会は普及委員会の1部会となる。
1月20日には、金融機関やメディアを集めて、金融部会設立の事前説明会を開いた。平野代表理事は、「ブロックチェーンは進化が速く、1年前の情報はもはや不正確になってしまっていることがある」として、BCCCのようなコミュニティで最新の情報を共有することの重要性を強調。さらに、「金融機関の皆さんには、金融部会に直接参加していただき、世界の流れから取り残されないようにしてほしい」と訴えた。