bitFlyerの加納裕三・代表取締役は、日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事も務める。新しい市場を創出するために業界団体、さらにはJBAが果たすべき役割をどう考えるのかも聞いた。(取材・文/本多和幸)
―JBAの代表理事も務めておられるが、もともとどういう経緯で発足した団体なのか。
加納 ビットコイン関連ビジネスに携わる有志が集い、第二の「マウントゴックス事件」を起こしてはいけないという問題意識のもとに発足したのが、JBAの前身の日本価値記録事業者協会(JADA)だ。(ビットコインなどの仮想通貨には)絶対に法律が必要だと思っていた。自主規制では守らない事業者も出てくる。もともと私は金融機関にいたので、国が認めないグレーなものを何となく扱っているという状態では社会的な信用が得られず、一部のマニアのもので終わってしまうという危機感があった。
過去2年半くらい政策提言をやってきたが、今春にも施行される(仮想通貨交換事業者を登録制にするなどの規制を盛り込んだ)改正資金決済法ができたというのは、われわれの活動としては大きな成果だ。FinTechの分野はとくにお金に関するテクノロジー、ソリューションなので、社会に浸透させるための環境をていねいに整備していくことが非常に重要だと考えている。
JBAとBCCCは活動の内容が異なる
―JADAは、ビットコイン、仮想通貨に関するルールの必要性に端を発し、その根幹技術であるブロックチェーンの普及にも活動範囲を広げ、JBAに改組した。現在の活動状況は?
加納 活動は毎週していて、理事会も毎週開催しているほか、2週間に1回勉強会も開いている。順調に会員数も増えて(3月22日現在で会員数は83社)いて、金融機関、弁護士事務所、監査法人、仮想通貨やブロックチェーン関連のスタートアップなどの新規会員が直近では目立っている。
―もう一つのブロックチェーン業界団体であるブロックチェーン推進協会(BCCC)との関係は?
加納 BCCCの平野(洋一郎・代表理事、インフォテリア代表取締役)さんとも話はしているが、活動の内容は異なるという認識だ。彼らはまさに「推進」協会なので、マーケティング的な活動を通してブロックチェーンの普及を図っていく立場だと認識している。JBAは、どちらかというとルールをつくったり、海外の最新の情報を仕入れて、それをどう業界の発展に資するべきかというのを考えていく団体だと思っている。両協会に加入している会員もいるので、そうした棲み分けは自然とできていくのではないか。