おさらいキーワード
<おさらいキーワード>第15回 チューリングテスト、中国語の部屋
2017/05/10 09:00
週刊BCN 2017年04月24日vol.1675掲載
チューリングテスト
コンピュータが、どれだけ人間に近いかを調べる測定方法。英国のコンピュータ科学者、アラン・チューリング博士が1950年に考案した。人工知能の分野で広く取り入れられている。
審査員役の人間が、1人の人間と1台のコンピュータについて、テキストによる対話を通じてどちらが人間かを判定する。人間とコンピュータの区別ができなかった場合に合格となる。測定中、審査員から測定対象の人間とコンピュータは見えない。
チューリングテストの歴史上、有名なのは、1960年代から70年代に発表された「ELIZA」(イライザ)と「PARRY」(パリー)の両システムで、人間のような振る舞いをして合格に最も近づいたといわれている。
世界で初めてテストに合格したのは、ロシアのスーパーコンピュータ「Eugene」(ユージーン)だ。チューリング博士の没後60周年の2014年、英国で開催された「Turing Test 2014」で、「ウクライナ在住の13歳」と認められた。
ただ、Eugeneの英語が堪能でなかったほか、試験時間が短かったことなどから、一部の専門家は、この合格を疑問視。「Eugeneは典型的なチャットボット」との批判が出た。
ディープラーニングなど、人工知能は技術の進歩が著しい。現在は第三次人工知能ブームのまっただ中。このまま技術が進歩し続ければ、20年代の終わりまでには、コンピュータがチューリングテストに合格し、コンピュータと人間が区別できなくなるという予測もある。
中国語の部屋
人工知能批判で有名なカリフォルニア大学バークレー校のジョン・サール教授が1980年、コンピュータが人間に近いかどうかを測定するチューリングテストへの反論として提唱した思考実験。
実験は、一つの部屋で実施する。内側に英語だけを話すことができる人を閉じ込め、小さな窓を通じて外部とやりとりができるようにする。窓から中国語で書かれた紙を入れると、内側にいる人は、マニュアルを見ながら返事を書く。
紙のやりとりを繰り返すと、対話が成立するようになり、外側の人は「内側には中国語が理解できる人がいる」と思う。チューリングテストだと「合格」になるが、実際は内側の人が中国語を理解しているとはいえないと考えられる。
部屋をコンピュータに置き換えると、演算装置や記憶装置などが、マニュアルに沿って回答しているだけとみることができる。このため、サール教授は、チューリングテストに合格したとしても、コンピュータが対話の意味や内容を完全に理解したとは判断できないと主張する。
中国語の部屋に対しては、多くの批判がある。各装置が中国語を理解していなくても、コンピュータ全体としてみれば、対話が成立している段階で中国語を理解しているとみなすべき、という考え方が代表的だ。
しかし、サール教授は、マニュアルを丸暗記した場合を想定し、「理解していなくても、外からは完璧に理解しているようにみえる」とさらに反論した。結局、議論は結論が出ないままの状態が続いている。
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