ブロックチェーン推進協会(代表理事:平野洋一郎・インフォテリア社長)は、ブロックチェーン上で稼働し、日本円と安定して為替連動する仮想通貨「Zen」の社会実験を始める。Zenは、どんな仕組みで運用されるのだろうか。(取材・文/本多和幸)
Zen発行のプロセス(図参照)としては、まず、参加企業がZen発行業務受託取引所を通して、ビットコインなどの仮想通貨建てで発行請求をする。これはつまり、時価1円に相当する仮想通貨に対して1Zenを発行されることを意味するわけだ。取引所はBCCC(発行者)に仮想通貨を預け、BCCC側ではこれを仮想通貨発行時の市場価格で日本円に交換して、銀行口座に保管する。そして、業務委託先のZen取扱取引所に対して、Zen発行時に1Zen=1円の買い注文を提示する。
Zenの対日本円為替レートを安定させる仕組みを検証する
取引所では、Zenと他の仮想通貨や法定通貨(そ の取引所が取り扱っているものに限る)を取引することも可能で、当然ながら、仮想通貨取引所でのZenと法定通貨、ほかの仮想通貨との為替レートは常に変動し得る。しかし、「BCCCがZenの発行手取金(受け取った仮想通貨を発行時点の市場価格にて円転したもの)を原資として、取扱取引所ごとに発行数と同数のZenを1Zen=1円で購入する注文を提示することで、実質的にZenの対日本円為替レートを安定させる仕組みが機能する」というのがBCCC側の仮説であり、Zenの社会実験では、その検証を行う。なお、BCCCが再取得したZenは、原則として消却処理されるという。
Zenのシステムは、パブリック・ブロックチェーンのメジャーなプラットフォームの一つとして知られるイーサリアムのプライベート版を使って構築し、Zenの運営にはスマートコントラクト(ブロックチェーン上に書くプログラム)を導入する。これにより、運営の信頼性そのものをブロックチェーンで担保することも、今回の社会実験の重要なテーマとなっている。