既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(44)不動産情報管理システムにブロックチェーン
2017/06/07 09:00
週刊BCN 2017年05月29日vol.1679掲載
本紙のトップインタビュー記事「Key Person」や、本連載でも何度か取り上げたbitFlyerのブロックチェーンプラットフォーム「miyabi」を使い、不動産管理システムを構築するプロジェクトがスタートした。金融分野以外でもユースケースの構築は活発化している。(取材・文/本多和幸)
過去、bitFlyerの加納裕三代表取締役は、週刊BCNのインタビューに対して、「miyabiのできには絶対の自信をもっている」としたうえで、IBMが主導する「ハイパーレジャー・ファブリック」(The Linux Foundationが設立したブロックチェーン技術の共同開発プロジェクト「ハイパーレジャー・プロジェクト」から生まれた代表的なブロックチェーンプラットフォーム)などと比べても、「miyabiが負ける気はまったくしない」と言い切った。さらに、「今年は、PoCのレベルを脱したmiyabiのユースケースがいくつか出てくる」と展望を語っていた。
この“予言”どおり、4月27日、同社と積水ハウスは、miyabiをブロックチェーンプラットフォームとして採用し、スマートコントラクト(ブロックチェーン技術が備える、契約行動をプログラム化し自動実行する仕組み)によって不動産情報管理システムを構築する共同事業を始めると発表した。
このプロジェクトは段階的にシステム構築と運用の範囲を拡大していく計画で、まずは賃貸住宅の入居管理などの情報管理システムをmiyabiのうえで構築し、2017年度内(18年3月まで)をめどに運用を開始する。運用主体となるのは、積水ハウスの完全子会社で、東京都と神奈川県を主な営業地域とする積和不動産だ。これが実現すれば、不動産業界でのブロックチェーンを使ったシステムの実運用としては日本初の事例になるという。
bitFlyerと積水ハウスが共同事業でシステム構築
さらに、「20年をめどに、積水ハウスグループの賃貸住宅のサービス提供をブロックチェーン上で行うこと」を目指す。住宅オーナーや積水ハウス自身による賃貸住宅供給、積和不動産の物件管理、提携不動産業者による賃貸住宅の募集・案内、入居顧客の管理といった業務を、「ブロックチェーン技術をプラットフォームとしたIoTアプリケーションでつなげる」(両社のプレスリリース)ことにより、エンドユーザーの物件見学から入居の申し込み、契約、入居までに至る一連の流れをスムーズに進め、「サービスの利便性と満足度向上を図る」としている。
両社はブロックチェーンについて、「自社オリジナルのシステムに依存することなく、情報管理フォーマットが共通化しやすいことが特性の一つであり、賃貸管理を行う不動産関連企業や自主管理の事業主が、プラットフォームに相乗りしやすくなる技術」と捉えている。将来的には、今回のプロジェクトで構築を目指すブロックチェーンを使った不動産情報管理システムを、「日本の不動産業界のネットワークをつなげる標準プラットフォーム」に育てていく構想があることも明らかにしている。
本紙のトップインタビュー記事「Key Person」や、本連載でも何度か取り上げたbitFlyerのブロックチェーンプラットフォーム「miyabi」を使い、不動産管理システムを構築するプロジェクトがスタートした。金融分野以外でもユースケースの構築は活発化している。(取材・文/本多和幸)
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