サイバー攻撃

　コンピュータのネットワークに不正侵入し、ファイルを破壊したり、データを盗んだりする行為を指す。個人や企業だけでなく、国家機関が攻撃対象となることもあり、「サイバーテロ」といわれることもある。

　サイバー攻撃の歴史は、1970年代から80年代に始まったと考えられている。初期の攻撃は、コンピュータウイルスが使われ、フロッピーディスクなどを通じてコンピュータ間で感染が広がっていた。

　当時は、ウイルスに感染したコンピュータの画面にメッセージを表示するなどして、感染者を困らせたり、驚かせたりすることを目的とする攻撃が多かったという。

　その後、コンピュータの性能が向上したほか、インターネットが普及したことに伴い、攻撃は巧妙化の一途をたどった。現在、被害は世界規模に拡大し、日本ではセキュリティ対策について国でも議論している。

　攻撃の種類は、ウイルスだけではない。大量アクセスでウェブサーバーに大きな負荷をかけ、ウェブサービスを機能不全にするDDoS攻撃や、コンピュータウイルスを添付した電子メールを送りつける方法がある。いずれも企業のサイトが攻撃されると、個人情報の流出や売上機会の損失につながる可能性がある。

　サイバー攻撃は、「ハッカー」や「クラッカー」と呼ばれる個人や集団で実施されることが多い。なかにはサイバー攻撃に国の関与が疑われることもあり、最近ではニュースなどで大きく取り上げられている。

ランサムウェア

　不正プログラムの一種。感染したコンピュータに制限をかけ、解除と引き換えに身代金を要求する。名称は、身代金を意味する英単語「Ransom」と「Software」を組み合わせた造語。日本語で「身代金要求型ウイルス」といわれることもある。

　ランサムウェアは、不正なウェブページを閲覧したり、スパムメールの添付ファイルを開いたりした際に感染することが多い。世界で初めてのランサムウェアは、1989年に確認された「AIDS trojan」が最初とされている。

　世界的に流行し始めたのは、2010年代に入ってから。ファイル暗号型や端末ロック型など、各地で新種のランサムウェアが出現し、被害が拡大した。主にWindows環境が被害にあうケースが多いが、これまでにAndroidやMacを標的にしたランサムウェアも確認されている。

　トレンドマイクロが17年1月に発表したサイバー犯罪動向によると、16年1月～11月の国内での被害件数は、個人と法人を合わせて前期（15年1月～12月）比3.4倍の2690件となり、過去最大を記録した。

　また、同社が17年5月30日に公表したセキュリティ動向報告書によると、17年第1四半期（1月～3月）は、モバイル端末を狙う新種のランサムウェアが増加。新種の件数は前年同期（16年1月～3月）比5.6倍の約12万3100件だった。

　独立行政法人情報処理推進機構（IPA）は17年5月、「Wanna Cry」と呼ばれるランサムウェアの被害が世界で急増したため、緊急の注意喚起をした。