ブロックチェーンの業界団体が、これまでよりもさらに一歩踏み込んだ人材育成に取り組もうとしている。ブロックチェーン推進協会(BCCC、代表理事:平野洋一郎代表取締役)は、ブロックチェーン大学校に、非エンジニア向けコースも開講する。(取材・文/本多和幸)
昨年8月、BCCCは、ブロックチェーンの普及促進と市場の立ち上げを担うエンジニアやビジネスパーソンを養成すべく、ブロックチェーン大学校を開校した。それまで日本市場にはほとんど存在しなかった体系的なブロックチェーンの教育の場を設け、ブロックチェーンビジネスの市場創出を後押ししようという狙いで、カリキュラムの提供と講師の派遣は、BCCC会員企業のビットバンクが担ってきた。カリキュラムは、米ブロックチェーン・ユニバーシティが提供する教育プログラムを同社が独自にアップデート、ローカライズしたもので、「シリコンバレーでは定評のあるプログラム」だという。
受講生の対象は、「ブロックチェーンを利活用するエンジニア」、もしくは「ブロックチェーン導入を検討する金融機関・企業等の担当者」と規定していたが、平野代表理事によれば、実際の受講生は、「ブロックチェーン技術のプロバイダ所属エンジニアが大半を占める」状況だった。金融だけでなく、さまざまな分野でブロックチェーン活用のPoCなどが生まれるなかで、ブロックチェーンが真に革新的な技術として社会に浸透していくには、ビジネスサイドでブロックチェーンに精通した人材、つまりは「ブロックチェーン導入を検討する金融機関・企業等の担当者」側への教育も、重要な課題として浮上していたといえよう。
非エンジニア・ビジネスパーソン
向けに2コースを新設
ブロックチェーン大学校の授業の様子
BCCCは16日、2017年度(16年4月~17年3月)のブロックチェーン大学校の運営方針を明らかにし、非エンジニア・ビジネスパーソンを対象とした新しいコースを新設すると発表した。昨年度は約120人がブロックチェーン大学校を修了しているが、これにより、今年度は昨年度比で約2.5倍にあたる300人の修了生を育成する計画だという。なお、ビットバンクは今年3月、ブロックチェーンの教育事業を独立させ、事業主体としてブロックチェーン大学校(株)を設立しており、教育カリキュラムとしてのブロックチェーン大学校は、BCCCとブロックチェーン大学校(株)の共催になる。
非エンジニア・ビジネスパーソン向けコースは、複数回受講するのが難しい人向けの1回切りの授業「ブロックチェーンビジネスビギナークラス」と、全4回の授業で構成する「ブロックチェーンビジネスブロンズコース」の2種類を用意している。