既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(50)他のSIerとは一線を画すTISの取り組み
2017/07/26 09:00
週刊BCN 2017年07月17日vol.1686掲載
ブロックチェーンを取り巻く日本のIT産業の状況をみると、スタートアップ企業が中心となってコミュニティを形成し、盛り上げてきた感がある。一方で、ユーザー企業と彼らをつなぐ大手SIerにも各社各様の動きが出てきている。(取材・文/本多和幸)
国内の大手SIerの多くは、ブロックチェーンを新しい有望な技術と位置づけ、ブロックチェーンの専業スタートアップ企業、さらにはブロックチェーン活用に積極的なユーザー企業などと組み、PoC(概念実証)を進めたり、技術者育成に取り組んでいる。
ただし、現時点でそうしたSIerがフォーカスしているのは、ビットコインのようなオープンなネットワーク上で運用されている「パブリック・ブロックチェーン」ではなく、許可されたノードのみがアクセス、もしくは合意形成に参加できる「パーミッションド・ブロックチェーン」である場合が圧倒的に多いという印象だ。端的にいえば、まずは(広義の)データベースとしてブロックチェーンを使ってみることで、金融を中心に、既存のエンタープライズITの世界にどんなメリットをもたらすことができるかを模索している。
そんななかで異彩を放つのが、TISの取り組みだ。ブロックチェーンに深くかかわっているスタートアップを含め、識者のなかでは「パブリック・ブロックチェーンこそがブロックチェーンの真の価値を体現している」という指摘も根強いが、TISは、まさにこのパブリック・ブロックチェーンの可能性を探求している。
デジタルガレージと共同でFinTechの開発会社を設立
具体的な動きをみると、TISは昨年9月、デジタルガレージと共同で、FinTech関連事業の技術開発を担う新会社として、「DG Technologies」を立ち上げた。両社には、1999年に資本提携関係を結び、決済領域を中心に協業を進めてきた歴史がある。また、デジタルガレージは、カカクコム、クレディセゾンと共同で、オープンプラットフォーム型研究開発組織「DG Lab」を設立しており、「ブロックチェーン」「AI」「VR/AR」「バイオテクノロジー」「セキュリティ」の五つのテーマで研究開発を進めている。また、DG TechnologiesはDG Labと連携し、とくにブロックチェーンを活用した技術開発に力を注いでいる。
DG TechnologiesやDG Labは、カナダのブロックストリーム社がブロックチェーンの拡張技術として開発した「サイドチェーン」を活用し、ブロックストリームとも協業して日本市場向けのプロダクト開発を進めている。ちなみに、ブロックストリームにはビットコインのコア開発者が多数在籍し、デジタルガレージは、投資子会社を通じて出資もしている。
TISは、DG Labの技術開発パートナーとしてDG Technologiesへエンジニアを派遣し、金融分野のシステム開発で培ったノウハウを提供するとともに、ブロックチェーン技術の知見を蓄積している。(つづく)
ブロックチェーンを取り巻く日本のIT産業の状況をみると、スタートアップ企業が中心となってコミュニティを形成し、盛り上げてきた感がある。一方で、ユーザー企業と彼らをつなぐ大手SIerにも各社各様の動きが出てきている。(取材・文/本多和幸)
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