今の人工知能(AI)ブームにおいて、注目されているのが「機械学習」や「ディープラーニング」。とくにディープラーニングは画像処理や音声解析に強い機械学習の一種として実用化が進められていますが、エイシングでは、ディープラーニングとも異なる新たな機械学習モデルを生み出したそうです。
どんな会社なの? 
出澤純一
代表取締役
AIアルゴリズムの「Deep Binary Tree(DBT)」を開発・提供しています。
エイシングは、出澤純一代表取締役が2007年に設立した早稲田大学発のベンチャー「ひらめき」から、AI事業をスピンアウトして設立した会社です。岩手大学の金天海准教授とともに開発したAIアルゴリズムのDBTをクラウドサービス(SaaS)として提供しています。
何が新しいの?機械制御や統計解析に強い、独自のAIです。
DBTは、画像処理などで注目されているディープラーニングとはまた異なる独自の機械学習モデルとして開発したAIのアルゴリズムです。
特徴は、機械制御や統計解析に強いこと。学習にあたりパラメータの調整が不要で、かつ動的な追加学習が可能。また、アルゴリズム自体は約40キロバイトと軽量で、「IoTデバイスへ実装できます」(出澤代表取締役)。ディープラーニングで性能を出そうとすると、「チューニングに時間が必要なことや専門家のスキルが求められ、計算にもコストがかかる。そのため、エッジデバイスへの軽量実装が難しい」(同)として、DBTがIoTに向いているといいます。ただし、ディープラーニングと比べてデータの入力数は大幅に劣るため、「画像処理は苦手」(同)です。
導入実績は?約10社から引き合いがきています。
現在、10社ほどの企業と取引を行っていて、そのうちのほとんどが自動車やセンサ、FA(ファクトリーオートメーション)分野でグローバル展開する大企業。また、「海外のグローバル超大手企業とも協業に向けて話を進めている」といい、注目を集めているようです。
今後の方向性は?IoT×AIで世界展開を目指します。
「軽量に実装できることが特徴で、IoTで使えるAIを先駆けて実現できている。“IoT×AI”で世界進出を目指す」と出澤代表取締役。
また、技術面ではDBTのチップ化や、統計解析の強みを生かしてFinTech分野への応用も進めています。
よろしくエイシング
出澤代表取締役がAIに取り組み始めたのは、早稲田大学の機械工学科でロボットの研究室に在籍していた2005年頃。AI研究者で機械工学出身は珍しいそうですが、「知能系のことがやりたい」と思い、当時の先輩で現同社CTOでもある岩手大学の金天海准教授とともに研究していたのだといいます。それから12年のノウハウによって、生み出されたのがDBTです。エイシングは「Deep Binary Tree」でイッポ前へ!