NECの強みの一つといえるのが、指紋/顔認証技術を活用したセーフティ事業だ。現在は、国内よりも海外の空港や警察などに導入されている事例が多いが、2020年の東京五輪開催に向けて、入国チェック、イベント会場などの入場チェックなどへの活用に向け注目が集まる。今後ますます重要度が高まっていく事業だ。 (山下彰子)

 NECの生体認証技術が高い支持を受けるようになったのは、ひとえに長年の技術研究・開発の賜物といえる。文字認識技術の研究を開始した1963年まで遡ることができる。ここで確立したパターン認識技術を応用し、89年に顔認識技術の研究が始まった。つまり、文字認識から数えると50年以上の歴史をもっている。

 長年取り組んできた認識・認証技術が実り、09年、世界最高峰といわれる米国立標準技術研究所(NTST)の顔認証技術ベンチマークテストで1位の性能評価を獲得。この後、10年、13年と連続で1位を獲得した。17年には初めて動画顔認証で1位を獲得する。静止画、動画ともにNECの顔認証技術は世界でトップと評価された。現在、世界No.1の生体認証技術として海外で高い評価を獲得し、米国の州政府やシンガポール政府、インターポールと戦略的パートナーシップを締結。70か国に700以上のシステムを提供している。
 

鈴木武志
TCI事業部
セーフティ事業戦略室
マネージャー

 NECがもつ顔認証について掘り下げてみよう。静止画と動画の2種類があるが、その違いは何か。鈴木武志・TCI事業部セーフティ事業戦略室マネージャーは、「静止画は積極認証、動画は非積極認証」と説明する。入館システムなどに採用される静止画は、カメラの前に立ち、認証を行うので、本人の意思で行う「積極」認証だ。カメラとの距離が近く、顔を正面に向けているので、顔の抽出、認証がしやすい。

 一方、動画の場合、本人が意識せずにカメラの前を通るので「非積極」認証となる。カメラと被写体の距離が変化する、広範囲で撮影するので複数人を同時に認証する必要がある、被写体の顔の向きが一定でないなど、静止画より条件が厳しくなる。

 NECの動画顔認証技術は、高速な顔の抽出/認証ができ、さまざまな環境に対する耐性をもつ。また、人の影に隠れるなどして顔の一部が確認できない状況でも、特徴的な部分から認証する技術や、カメラとの距離が離れていて解像度の低い映像に対しても顔画像の比較や本人確認ができる技術をもっている。

 こうした技術によって、入退場管理システムでは立ち止まることなく認証ができるので、滞留を解消し、事前に登録したVIPや行方不明者を検知したり、複数の動画から不審な行動をとっている人物を把握したりと、新たなソリューションに活用することができる。