SDS

　「Software Defined Storage」の略。「ソフトウェア定義型ストレージ」などと訳される。ソフトウェアでストレージを制御する技術を指す。容量やハードウェアの種類に縛られず、柔軟にストレージを運用できる。

　SDSは、企業内に分散したストレージを一括して管理する方法として広く使われている。ストレージの使用状況や空き状況をシステム担当者が容易に確認できるため、容量の適正利用やコストの削減が期待できるといわれている。

　また、ハードウェアとソフトウェアを別々に調達することが可能で、ダウンロードしてソフトウェアのみを入手することもできる。SDSを導入する場合、ハードウェアのメーカーを自由に選べるため、柔軟なシステム構成が可能になる。

　企業システムは、一時はクラウドへの移行が大きなキーワードになっていた。しかし、最近は、ハイパーコンバージドインフラ（HCI）を使ったオンプレミスのシステム構成があらためて注目されている。SDSは、HCIを支える技術として使われている。

　SDSの概念や定義は、まだ細かく決まっていない。現在、国際的なストレージ業界団体SNIA（Storage Network Industry Association）が標準化しようとしている。

　IDC ジャパンが2017年2月に発表した市場予測では、16年の国内SDS市場は、前年比139.8％の273億900万円に達し、15年から20年の年平均成長率は31.1％になると予想している。

SDN

　「Software Defined Network」の略。左欄のSDSと同様に、ソフトウェアで物理的なネットワークを定義し、制御する技術。システムを構築した後でも、柔軟にネットワークの構成を変えることができる。

　これまでは、サーバーやネットワーク、ストレージなどの物理的な機器でシステムを構築していた。それぞれ専用機としてのメリットがあるものの、システムが固定化されることが課題になっていた。

　物理的なネットワークを仮想化する技術として、以前から「VLAN」という技術があるが、こちらは各ネットワーク機器の設定をスイッチで切り替える必要がある。

　一方、SDNは、拡張性と柔軟性が特徴で、一つのソフトウェアでネットワーク機器の操作ができるため、ネットワーク仮想化とSDNは区別して考える場合がある。

　SDNが大きく注目されるようになったのは、2000年以降。米スタンフォード大学のマーティン・カサド氏の論文をもとに、通信プロトコル「OpenFlow」が誕生したことがきっかけになったといわれている。

　最近では、クラウドコンピューティングが台頭し、ネットワークにはより柔軟性が求められるようになった。データセンターを中心に、SDNの市場は盛り上がりつつある。

　IDC ジャパンが2017年4月に発表した市場予測では、企業ネットワークなどでも顕著な進展をみせ、16年の国内SDN市場は355億円規模に。データセンターのSDN市場は、21年にかけて年平均で30.2％で成長するとされる。