ノイマン型コンピュータ

　「コンピュータの父」といわれるハンガリー出身の数学者、ジョン・フォン・ノイマンが考案したコンピュータの構成。PCを含め、現在のコンピュータは、ほとんどがこの構成を採用している。

　世界で初めての電子コンピュータは、1942年に米国で開発された「ABC」だ。電気を使って計算を実行する点で画期的な仕組みだったが、別の計算をするためには配線を組み直さなければならず、汎用性に欠ける点が欠点とされた。

　ノイマン型コンピュータは、46年に論文で発表された考え方。「五大装置」と呼ばれる入力装置や制御装置、演算装置、記憶装置、出力装置を備えていることが特徴だ。

　外部から装置に命令を出して稼働させるため、「ソフトウェアの原点」といわれることもある。ほかのコンピュータに比べて極めて汎用性が高いため、半世紀以上がたった現在も採用されている。

　世界初のノイマン型コンピュータは、英ケンブリッジ大学が49年に開発した「EDSAC」（エドザック）。ノイマンは論文発表後、米国で研究に携わっていたが、チームの内紛で開発が遅れたといわれている。

　当時のコンピュータは、大きさに比例して性能が向上していた。しかし、60年代に入ると、集積回路が登場し、状況が一変。それからは個人で使用できる小型のPCが登場し、世界中で普及している。

　ただ、米アップルが2010年、「iPad」を発売したことがきっかけになり、PCがタブレット端末に代替される動きも出ている。

量子コンピュータ

　量子力学の基本原理となる「重ね合わせ」の考え方を採用したコンピュータ。大量のデータを用いた並列計算を超高速に実行できることが特徴だ。

　量子コンピュータは、米国や英国の科学者らが1980年代頃に初めて提案したといわれている。その後、90年代に米国の研究者、ピーター・ショア氏が量子計算に関するアルゴリズムを考案し、量子コンピュータの実現に向けた機運が一気に高まったとされている。

　2010年代に入ると、量子コンピュータが現実になる。カナダの企業「D-Wave Systems」は11年、「世界初の商用量子コンピュータ」として、「D-Wave One」を発表した。一方、米IBMは16年、開発中の量子コンピュータをインターネット上に公開した。

　量子コンピュータには現在、「量子ゲート（量子回路）方式」と「量子アニーリング（焼きなまし）方式」の2種類がある。D-Wave Oneは、量子アニーリング方式にあたる。

　量子コンピュータは、これまでのコンピュータの性能を大幅に上回るといわれている。そのため、人工知能（AI）や自動運転の領域を中心に活用が期待されており、現在、世界中で開発競争が激化している。

　国内では、国が18年度から、関連の研究に積極的な投資をしていく方針が取りざたされている。また、NTTや国立情報学研究所などのプロジェクトチームは17年11月、初の国産量子コンピュータを発表し、注目された。