視点

DXの先にある三つのトレンド

2021/05/19 09:00

週刊BCN 2021年05月17日vol.1874掲載

 コロナ禍をきっかけに、デジタルについての社会の意識が大きく変わったが、SI事業者は、この変化のさらに先を考えておく必要がある。

 「お客様がSI事業者の競合になる」――。

 これまでの基幹業務やそれに附帯する需要が直ちになくなることはない。しかし、この領域の需要は、これからも効率が追求されるので、従来のやり方を続けていては、工数は稼げても利益を出すことが益々難しくなるだろう。

 一方で、デジタルを駆使した新規事業や業務プロセスの変革は、需要を伸ばすと考えられる。ただ、あらかじめ用意された正解がないから、試行錯誤を繰り返さなくてはならない。

 そこに求められるのは、圧倒的なビジネス・スピードだ。そのためには、必然的にアジャイル開発、DevOps、クラウド、サーバーレス、コンテナ、マイクロサービスなどの「モダンIT」を前提とした内製チームがつくられる。これは、既存のSI事業の競合になり得る。

 「組織ではなく個人の価値が重視される」――。

 量をそろえるための組織力ではなく、モダンITを前提とした圧倒的なスキルを持つ個人の力が求められる。お客様が求めるのは、内製チームに資するメンバーだ。そんな人材が、社内メンバーと同等では、価値がない。高度で先進的な技術やノウハウ、自分たちが持っていない視点や捉え方など、ぜひとも必要であると感じさせるオーラが必要であろう。

 「世の中はデジタル企業を目指す」――。

 事業会社はITスキルが乏しいので、SI事業者が補うという従来の構図が成り立たない。ますます大切になるのはスピードだから、それを加速してくれる圧倒的な技術力や、新しいビジネスに必要な機能を提供するプラットフォームの需要も拡大することになる。

 「DX事業」や「DX案件」などと言葉遊びに終始する愚は、そろそろ止めにしたほうがいい。むしろ、このような本質的な変化の底流に向きあうべきだ。そうすれば、それが結果として、自分たちのDXになる。

 そして、その経験とノウハウが人を育て、お客様のDXを支えるパートナーとして、その価値を高めていくことになるだろう。

 
ネットコマース 代表取締役CEO 斎藤昌義
斎藤 昌義(さいとう まさのり)
 1958年生まれ。日本IBMで営業を担当した後、コンサルティングサービスのネットコマースを設立して代表取締役に就任。ユーザー企業には適切なITソリューションの選び方を提案し、ITベンダーには効果的な営業手法などをトレーニングするサービスを提供する。
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