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「分散クラウド」の用語解説 従来のクラウドとの違いは?

2022/08/02 09:00

週刊BCN 2022年08月01日vol.1933掲載

 パブリッククラウドサービスを複数の物理的拠点から享受するための仕組み。ユーザーのオンプレミスに設けるプライベートクラウドとは異なり、すべての環境をパブリッククラウドプロバイダーが一元管理する点が特徴となる。ユーザーに物理的に近い地点でサービスが運用されるので、低遅延が期待できるなどのメリットがある。 

 近年ではクラウドにエッジコンピューティングやIoTなどを組み合わせて利用することが増えている。ただ、従来のクラウドは特定のデータセンターで集中的に処理を実行するため、エッジやIoTデバイスの設置場所によってはパフォーマンスが落ちる可能性がある。

 分散クラウドでは末端に近い場所に置かれた「サブステーション」などと呼ばれる小規模なデータセンターでデータを処理することで、ネットワークの輻輳、遅延の発生などを防ぐ。単一のコントロールブレーンから管理されるため、複数箇所にまたがるインフラ環境を効率的に管理できる利点もある。国や地域ごとに設けられた、IT資産やデータ保護に関する規制をクリアする手法としても注目されている。

 よりユーザーに近い場所でのデータ処理が重視される中で、プロバイダー各社は分散クラウドを実現するサービスに力を入れており、事業者間の競争激化が予想される。
(大向琴音)
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