新年になりニューヨークの新しい市長にブルームバーグ氏が就任した。テロ事件後に一躍アメリカのヒーローとなったジュリアーニ前市長の跡を継ぐのは、ニューヨークの現状を見るまでもなく一際厳しい船出と言えるであろう。

 思えばここ10年間、ニューヨークはeコマースの牽引車の役割を果たしてきた。官民一体となってのシリコンアレーの創設から始まり、他州に先駆けての各種法的問題の整備など、その先進性は目を見張るものがある。

 しかし、かつての主役達には今は見る影もない。有名企業といえども買収や倒産は珍しくなく、最近ではIT産業を解雇された人向けのパーティまで催されている。テロによって後退した景気も影響し、今後もシリコンアレーの先行きにはあまりよい兆しはなさそうだ。

 業界全体を見渡しても、多くの企業の業績の下方修正などその停滞傾向は明確である。業界展望の指針となるべきラスベガスでのコムデックスに至っては、今年はその内容よりもテロの影響による厳しい警戒態勢が主たる話題になる始末である。また近年の傾向として技術開発中心からの脱却指向は一層顕著で、情報産業の実用化を特徴としてきたシリコンアレーは、この面で先端技術志向のシリコンバレーとの棲み分けをしてきており、更なる苦境に追い込まれることとなった。

 しかしブルームバーグ氏には民間での十分な経営実績がある。しかも彼は情報産業の現役辣腕経営者である。決断力とリーダーシップを高いレベルで兼ね備えていると言えるだろう。どのような手段を取るにせよきちんと結果を残すはずだ。

 十分な実績と経験とカリスマ性を合わせもって、ニューヨーク市とシリコンアレーの復興を手がけることになる新市長の「ビジネスライクな」手腕に期待したい。 (米ニューヨーク発)