Review Diary

<Review Diary>12.パワーシフト

2002/01/28 15:27

週刊BCN 2002年01月28日vol.926掲載

 参加型メディアを語るとき、社会学的な見地からのコミュニティ論や、メディア論的なアプローチが多かったのだが、実はもう1つ重要なアプローチがある。それは前回のコラムでも少し触れた資本主義の延長にある新しい社会システムとして認識すること、だ。

 ビジネスや経済を語る際に誰もが前提として認識している資本主義の構造をもって、参加型メディアというものを眺めてみると、それは非常に頼りなく、かつそれほど魅力的に見えないかもしれない。プロとアマの差異を例に考えてみれば一目瞭然である。

 だが、現状行き詰まったこの構造に対て何かしら新しいチャレンジをするならば、実はこの参加型メディアは限りない可能性を秘めている。それは、新しい社会活動の基盤として、あるいは資本主義を補うもう1つの軸として。

 以前触れた「地域通貨」が目指す「循環型社会」システムと共感するのはこのあたりの意味・目的をもって解釈しているからだ。貨幣による取り引きが前提にあるにしろ、それらが全ての社会行動を支配する時代からは、今確実に変化しつつある。その長い変化の過程において、参加型メディアが新しい社会システムの一旦をうことができれば…そう願わずにはいられない。(レビュージャパン 事業統括マネージャー 澁川直子)
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