例年になく暖かい今年のニューヨークの冬。春も近いある日、インターネット・ワールド・ワイヤレスという催しに行って来た。この会場は、マックエキスポやウィンドウズワールド、リナックスワールドといったイベントも行われ、年に数回は必ず足を運んでいる。

 数年前は、この種の展示会場には参加企業が溢れ、観客も多く非常な活気を呈していたものである。各ブースでは多くの新技術や新製品が目白押しであり、デモンストレーションや基調講演は混雑をきわめていた。用意されたノベルティは趣向を凝らしたものばかりか非常に高価なものまでが配布されており、取材時の楽しみでもあった。

 だが今回は、テーマがワイヤレスという旬な話題であったにもかかわらず参加企業は極端に少なく、目新しいこともなく、短時間で会場をあとにした。 これは裏を返せばインターネットやパソコンが既に“普通”になってしまったことの証明であろう。

 2001年9月時点で、米国のインターネット人口は全体の過半数を突破したと商務省は発表した。現在でも毎月200万人以上のペースで増加していると言われる。そう、インターネットやパソコンはもはや当たり前のことなのである。当たり前になったことに対して、改めて感動などがないのは至極当然。近年は画期的な出来事や新技術などで騒がれることもなかったので、一層その傾向が強い。

 特定業界の展示会で、現在も一般客を数多く集めることができるのはモーターショーやファッションショーだけだ。そう考えれば今後一般のユーザーがこの手のイベントに足を向けることは、益々減っていくだろう。

 今、デスクのまわりに散らばるノベルティグッズを見ると、かつてのエクスポでの熱狂と興奮を思い出し、やや寂しい気持ちになる。(米ニューヨーク発)